債券は下落、三菱UFJ銀のPD返上報道で売り-海外勢が反応との声

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  • 先物は16銭安の152円00銭で終了、長期金利マイナス0.115%に上昇
  • 新発20年債利回り0.205%と過去最低更新後、0.225%まで売られる

債券相場は下落。三菱東京UFJ銀行の国債市場特別参加者(プライマリーディーラー、PD)資格返上をめぐる報道を受けて、国債の安定消化に対する懸念から売りが優勢となった。

  8日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比10銭安の152円06銭で取引を開始した。徐々に持ち直し、2銭高の152円18銭を付けたが、午後に入ると再び水準を切り下げ、151円98銭と日中取引ベースで2日以来の水準まで下げた。結局は16銭安の152円00銭で引けた。

  三菱UFJフィナンシャル・グループ傘下の三菱東京UFJ銀は、PD資格返上を検討している。国債の安定消化を進める上で、重要な役割を果たしてきたPD制度からの離脱の動きは、国内金融機関では初めて。グループの三菱UFJモルガン・スタンレー証券とモルガン・スタンレーMUFG証券はPD資格を維持する見通しだ。

  野村証券の中島武信クオンツ・アナリストは、こうした報道を受けて、「国債を買う人が減るとの連想が働いて下げて始まった。海外勢の反応が大きかったもよう。国内勢は反応していない」と話した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の343回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.12%で開始し、その後はマイナス0.115%で推移した。新発20年物の156回債利回りは1bp高い0.225%で始まった後、水準を切り下げ、0.205%と過去最低を更新。その後は売りが優勢となり、0.225%まで戻している。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、三菱UFJ銀のPD返上報道について、「心理的な悪材料にはなる」と指摘。ただ、「グループ内で適切に役割分担するだろう。目先は大きな影響は考えにくい。ただ、長期的にはPD制度が国債の安定消化に貢献してきた。他メガバンクが追随する可能性もあり、気になるところだ」と述べた。

  PDは財務省が2004年10月に導入した特別資格で、全ての国債入札で発行予定額の4%以上の応札を求められ、落札額でも一定割合の義務が生じる。一方、財務省と意見交換ができるなどのメリットがある。PDは現在メガバンク3行や証券など計22社が名を連ねている。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、PD資格返上は「国債発行計画も含めて市場全般について財務省と情報共有ができるメリット、第2非価格競争入札のメリットをギブアップすることになる。それらと応札義務との比較の上で、返上が適当と判断したものと考えられる」と指摘した。

  森田氏は「他のメガバンクも追随することになればノーインパクトとは言い難いが、現状の日銀買入れ規模との比較感で決定的な要素とまではならないだろう」とみる。

日銀国債買い入れ

  日銀がこの日実施した今月3回目の長期国債買い入れオペの結果によると、残存期間「5年超10年以下」と「物価連動債」の応札倍率が前回から上昇した。一方、「10年超25年以下」と「25年超」は低下した。オペ結果の相場への影響は限定的となっている。

  野村証の中島氏は、日銀買い入れオペは「普通の結果だった」と指摘。ただ、「物価連動債がやや弱く売り圧力が残っているようだ」と言う。

  財務省は9日午前、5年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回と同額の2兆4000億円程度となる。

  5年債入札について、中島氏は、「需要としては積極的に買う人はいない。ただ4月の水準よりはましになっている。ドル・円ベーシスも拡大しているので、海外勢からの買いが入るだろう。大きく崩れるイメージはない」と話した。

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