円は来年初めに90円台、米国株は暴落前夜-「マッドドッグ」若林氏

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  • 米国のデフレが続く2022年に最大65円まで円高が進むと予想
  • 「これからはゴールドの時代。今から6年くらいはひたすらゴールド」

昨年円安局面の終わりを予想したワカバヤシ・エフエックス・アソシエイツの若林栄四代表取締役は、来年初めにかけて1ドル=100円台を割る円高を見込む。米国をはじめ世界経済はデフレで、米国株は「暴落前夜」とみる。

  日柄や黄金分割を用いたチャート分析に基づく大局的な相場分析と予測で知られる若林氏(72)は2日のインタビューで、「金利で為替など動いていない。日本だってマイナス金利にした途端に大円高になった」と指摘。「バズーカが効いたというのは、ドルが上がる局面にあったから。今円高局面に入っているのにマイナス金利にしても円高になる」と語った。

  若林氏は、過去に1995年の超円高や2012年のドル・円相場の大底の予想を的中させた。昨年9月のインタビューでは、今後「黒田バズーカでやったことは全部裏返ってくる」とし、株高・円安の反転を予想した。昨年6月に13年ぶりとなる125円台を付けたドル・円相場は、昨年12月の米利上げや今年1月の日本銀行の黒田東彦総裁によるマイナス金利導入にもかかわらず、ドル安・円高傾向が鮮明となり、5月に105円台を記録。日経平均株価は年初来で約13%下落している。

  若林氏の分析によると、円高は来年初めにいったん終わり、18年半ばまで円安方向に戻した後に「大円高」がやってくるという。米国のデフレが続く22年に最大65円まで円高が進むと予想。「相場は天井を打てば下がる。65円で完全に終わり。それ以上はない」と語った。

  若林氏は1966年に入行した東京銀行(現・三菱東京UFJ銀行)で、シンガポール支店為替課長、本店為替資金部課長、ニューヨーク支店為替次長を歴任し、87年から96年まで当時の勧角証券(アメリカ)の執行副社長を務めた。

ゴールドの時代

  東京銀行時代にそのアグレッシブなトレーディングスタイルから「マッドドッグ(狂犬)」との異名を取った同氏は、異次元緩和やマイナス金利を市場の意表を突く形で導入した「黒田総裁のやり方は完全にマッドマン」と呼ぶ。「サプライズで何とかしようという、およそ中央銀行家であってはならない姿。サプライズなんていうものはオオカミ少年のようなもので、だんだん効かなくなる。それが今の彼の状態だ」と指摘。「ノーアクションでも大円高。マイナス金利をしても大円高になった。ドル高・円安時代に通用したことは円高地合いには全く通用しない」と語った。

  もっとも、日本経済は今年が最悪期で、来年には持ち直すため、結果的に黒田総裁が「実績」を残す形になる可能性はあると若林氏は指摘する。全体的にはまだデフレ的な色彩が強いということになっているが、マンションの価格上昇や売り手市場という学生の就職環境などは「デフレに呻吟(しんぎん)しているときの日本経済とフェーズが全く違う」とし、「来年になれば景気も良くなって、世界はさらにデフレが進化するので、日本はそれに引っ張られてインフレにもならないというゴルディロックスになるのではないか」と予想。「重要なのは結果だけ。全て波動。結果がついてくればクレジットは取れる」と語った。

  若林は昨年のインタビューで、世界的には量的緩和による資産価格押し上げが限界に達し、米国は「大デフレ」に向かうと予想した。今回のインタビューでも「大きなピクチャーは何も変わっていない」と言い、世界的な資源バブルと量的緩和で支えてきたアセットはすでに基盤を失っており、ダウ工業株30種平均で昨年5月と今年4月に1万8000ドル台でダブルトップを付けた米国株は「暴落待ちの相場」だと指摘した。

  若林氏は、世界中イールドがない状況で「インカムゲインを取るなら本当はボンドでやらなければならないのに、それを株でやっていることの怖さ。それが現実のものとなるのがこれからの流れではないか」と予想。「世界中デフレという世界でイールドシーカー(利回りを探し求める者)というのは危ない」と言い、「これからはゴールドの時代。今から6年くらいはひたすらゴールド。3000ドルぐらいまではチャートで見て完全にある」と語った。  

(第6段落以降を追加して更新します.)
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