イエレン議長:利上げを依然望むが急がず-6、7月の可能性が後退か

  • 次期利上げの具体的な時期に言及せず、雇用統計など懸念材料を列挙
  • エコノミストらは6月の利上げはなくなったとのメッセージ読み取る

6月の利上げはなくなった。7月も時期尚早の可能性がある。利上げには向かっているが、9月も絶対とは言えない。投資家とエコノミストはこのようなメッセージを6日のイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演から読み取った。

  イエレン議長はペンシルベニア州フィラデルフィアでの講演で、米経済は追加利上げが正当化されるぐらい十分に改善すると確信していると明言。しかしその一方で、解消に数カ月かかるような根強い懸念材料も列挙した。

  議長は米経済にはまだ前進する力があり、4-6月(第2四半期)に個人消費が「大幅」に伸び、経済成長をけん引するとの感触を得ていると強調。だが、追加利上げの時期には言及しなかったため、6月の可能性は一段と後退し、7月についても疑問が広がった。

  イエレン議長は「雇用の伸びとインフレ率上昇を支えるプラスの力が今後もマイナスの力を上回ると予想する正当な根拠があるとみている」と述べた。今後、当局者らは14、15両日の連邦公開市場委員会(FOMC)までの間、金融政策に関するコメントを控える。

  議長はまた、「中長期的な物価安定と最大限の持続可能な雇用を確保するため、フェデラルファンド(FF)金利は時間をかけて緩やかに上昇しなくてはならないだろうと、私は引き続き考えている」と述べた。

  エコノミストらは、イエレン議長が懸念を表明した期待外れの5月雇用統計や、投資支出の低調なパターン、グローバルリスク、インフレ期待の低迷といった問題の解消には数カ月要する可能性があり、来週のFOMCでの利上げの可能性はさらに低下したと指摘した。

時間枠存在せずか

  6月と7月のFOMCではいずれも利上げが見送られると予想するルネサンス・マクロ・リサーチの米経済責任者、ニール・ダッタ氏は、当局が追加利上げに踏み切るためには「4-6月期に引き続き、7-9月(第3四半期)に入っても景気回復が必要だ」とし、「そのような経済データが見られると思う」と話した。

  元FRB理事で、現在はLHマイヤー(ワシントン)を率いるローレンス・マイヤー氏は「金利正常化の再開はいつが適切かという問題で、イエレン議長がきょう表明したのは『全く分からない』ということだ。これは正しい答えだと思う」と発言。「正常化というのはコンセプトであって、時間の枠は存在しない」と説明した。

  3日に発表された5月の米雇用統計では、雇用者数の伸びがほぼ6年ぶりの低水準となった。イエレン議長は雇用の伸びと、ひいてはインフレを支える「プラスの力」への信頼を幾度も表明しながらも、こうした傾向の確認が必要だと示唆。「重要な問題は、世界情勢が非常に起伏の激しい状況で米経済が引き続き前進できるかどうかだ」と語った。

  この問題に関して、議長は世界的に投資家心理が急転するリスクや、英国の欧州連合(EU)離脱の是非を問う国民投票が「多大な経済的影響」を及ぼす可能性があり、これが米経済に波及する恐れがあると指摘した。英国民投票は今月23日に実施されることから、このコメントからも6月利上げのハードルが一段と高くなったことがうかがえる。

  イエレン議長はさらに、インフレ期待指標の弱さを「注視」していると発言。「インフレ期待が実際に低下すれば、インフレ率が私の予想するペースで2%まで回復するかどうかという問題が生じ得る」と述べた。ただ、原油相場が引き続き安定化し、外国為替市場で再びドル高が進行しない限り、インフレ率は上昇すると確信しているとした。
  
  元リッチモンド連銀エコノミストで、現在はジェフリーズのチーフ金融エコノミストを務めるウォード・マッカーシー氏は「政策金利をゼロ近辺から徐々に引き上げたいと依然考えているというのが議長のメッセージだ」と指摘。「ただ、3日の雇用統計で強い不安に駆られたため、議長は追加利上げの時期に関する文言を曖昧にした」との見方を示した。

原題:Yellen Insists Fed Increase En Route as Focus Moves to September(抜粋)

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