72歳ファンドマネジャー、内需一徹日本株に勝つ-設定来400%高

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半世紀近くにわたり日本株を運用する72歳の現役ファンドマネジャーのこだわりは長期視点、内需成長株への集中投資だ。英国時代に身に付けた投資哲学を頑なに守り、スタートから20年目を迎えた運用ファンドの設定来上昇率はプラス400%超と、同期間にマイナス15%だったTOPIXを圧倒した。

  シオズミアセットマネジメントの塩住秀夫社長が運用する日本株ファンド「レッグ・メイソン・ジャパン・エクイティ・ファンド」は英ロンドン市場に上場し、7日時点の純資産総額は日本円換算で1025億円。ブルームバーグ・データによると、年初来のトータルリターンはプラス37%、類似ファンドの98%に対し勝っている。良好な成績は欧州投資家の間で浸透しており、海外投資家が日本株を5兆円売り越した1ー3月もネットで90億円ほどの資金純流入だった。

  塩住社長はブルームバーグのインタビューで、「45年間ファンドマネジャーを一匹おおかみでやってきた。これまで成功できたのは一貫した投資哲学を持ち続けたからだ」と指摘。1996年10月にレッグ・メイソン・ファンドを立ち上げた際、日本の高度成長を支えてきた輸出・製造業がリストラに苦しむ姿を目の当たりにし、日本経済の復活には国内消費の増加と新産業の創出が必要と痛感、内需成長株投資へのこだわりを強めた。

シオズミアセットマネジメントの塩住秀夫社長

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  東京生まれの塩住社長は米国の大学を卒業後、70年に英投資銀行のロバートフレミング(現JPモルガン・チェース)に入社し、日本人初のファンドマネジャーとして投資運用部長、取締役などを務めた。同社時代に売買回転率の高い運用スタイルではなく、長期投資で高いパフォーマンスを出す投資哲学に触れ、「ファンドマネジャーの仕事は四半期の業績を追うのではなく、経営者の素質、企業と産業の将来性を見抜くこと」と気付く。

  83年にジャーディンフレミング証券(東京)を退社、友人と飲食店を開こうと準備を進めていた矢先、世界的投資家のジョージ・ソロス氏から「飛行機のチケットを送ったので、ニューヨークのファンドに来てくれと電話がかかってきた」と塩住社長は振り返る。ソロス氏の存在を当時は知らなかったが、同年に日本で会社を立ち上げ、以後約3年間にわたりソロス氏のクオンタムファンドの日本株運用を担当した。

保有上位にペプチDやそーせいG

  塩住社長は現在、バイオテクノロジーなど医薬品関連、電子商取引(Eコマース)、高齢化で成長機会がある企業の3つを投資テーマとし、過去2年間の経常利益が2桁増、今後2年間も増益見通しの42銘柄に投資している。時価総額制限は設けず、一度保有した銘柄は株価が上昇してもファンダメンタルズが変わらない限り、保有し続けるスタンスだ。

  レッグ・メイソン・ファンドの組み入れトップ銘柄は創薬ベンチャーのペプチドリームで、比率は全体の10%。3位にも7.5%のそーせいグループが入る。バイオは米国で20年以上前に成長産業となり、日本も追随すると予想したのが組み入れのきっかけだ。そーせいG株は購入した2012年からおよそ10倍となり、バイオ関連では今後1、2銘柄を増やす方針。

  組み入れ2位は07年から保有する日本M&Aセンターで、日本で少子高齢化が進む中、後継者の確保が難しい中小企業は増えるとの分析に基づく。EコマースではMonotaROカカクコムなどに投資している。

信頼できる経営者、スタートTやドンキ創業者に好感

  塩住社長は、長期投資で一番大事なのは「信頼できる経営者」だと言う。銘柄購入時にはまずファンド資産の0.5%前後を買い、会社訪問を通じて経営陣を好きになれば、2ー3%まで引き上げる。組み入れ上位にも並ぶ衣料品ネット通販「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイのケースでは、初めて対面した前沢友作社長の印象はミュージシャンのようだったが、「話してみると、真面目で信頼できると感じた」としている。ドンキホーテホールディングスの創業者、
安田隆夫氏とは90年代に麻雀卓を囲んだ仲だ。

  「経営者が業界をよく知っているのは当然。それよりも、いかに嘘を言わないか、素直な人であるか」が重要な判断材料と塩住社長は話す。

  内需成長株に集中投資する性格上、06年のライブドア事件をきっかけに国内新興株市場が急落したおよそ10年前、レッグ・メイソン・ファンドも大幅な下落に見舞われた。一方、成長戦略として内需活性化、産業育成を打ち出す第2次安倍政権が12年に誕生後、アベノミクス相場は同ファンドに好影響を及ぼしている。

  塩住社長は、「皆が笑っているときに泣いているときもある。それでも同じ投資哲学を持ち続けられるかは、忍耐強さがあるかどうかだ」と強調。株式市場で面白いのは変化であり、「経済構造が変わり、新しい産業がつくられる可能性は非常に高い。一般的なファンドマネジャーは円高・円安に一喜一憂しているが、日本の経済構造の変化を考えた投資方針を取るべき」と後輩世代にアドバイスを送る。

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