曖昧姿勢が奏功のイエレン議長、6日の講演も言質与えぬ可能性

  • 雇用統計後に市場が織り込む夏の利上げの可能性は急低下
  • 議長は自身の発言で窮地に追い詰められるのを回避か-エコノミスト

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は6日、フィラデルフィアで講演する。だが、誰にでも分かるようなはっきりしたシグナルの発信は期待できそうにない。曖昧な部分を残した議長の過去の発言が奏功してきたためだ。

  5月27日、ハーバード大学でのイベントに臨んだイエレン議長は、6月の利上げの可能性を示唆することも排除することもなかった。この結果、6月3日に発表された5月の雇用統計が総じて期待外れの内容となり、今月はおろか年内の利上げの可能性にも疑問が台頭する中でも、同議長は発言を撤回せずに済んだ。

  イエレン議長は労働市場をめぐる新たな不透明感を考慮し、「今後数カ月のうち」に恐らく利上げが適切となるだろうとした5月27日の発言を和らげるか、さらに条件を付けるかなどして、多少トーンを変える必要があるかもしれない。

  しかしエコノミストやストラテジストは、過去10年間で2回目となる追加利上げの時期について、より明確なスケジュールを明かすことはないと話す。

  ジャニー・モンゴメリー・スコットのチーフ債券ストラテジスト、ガイ・リーバス氏は6日の講演に関し、「日程を特定しない将来的な利上げについて、曖昧な約束が示されるだろう」と指摘。雇用統計の内容が低調でありながら、それでも利上げするというなら、「データ次第と主張することはできないだろう」と語った。同氏は9月の利上げを予想している。

  5月の雇用統計発表までの数週間、一部の米金融当局者は数カ月中の利上げを望む意向を表明し、市場が織り込む今月14、15両日ないし7月26、27両日のFOMCでの利上げ確率も高まっていた。発表を受けて事態は一変した。

  RBSセキュリティーズのエコノミスト、ミシェル・ジラード、ケビン・カミンズ両氏は「7月の論拠はもはや明白でなくなった」とする。現時点で9月としている利上げ時期の見通しをまだ最終的に固めていないとする両氏は、「6日のイエレン議長の発言を見極めたい」とコメントした。先週の雇用統計の発表前は7月の利上げ見通しに傾いていたという。

  TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェナディ・ゴールドバーグ氏(ニューヨーク在勤)は「イエレン議長が避けたいのは、自身の発言で窮地に追い詰められることだ」と予想。議長は「数カ月のうち」にとした先の発言を踏襲する一方で、それはデータが予測通りとなるかどうか次第だと強調するだろうと、ゴールドバーグ氏は解説した。

  イエレン議長は6日、午後0時半(日本時間7日午前1時半)からワールド・アフェアーズ・カウンシル・オブ・フィラデルフィアのイベントで講演。その後、午後2時(同午前3時)からのウエストフィラデルフィア・スキルズ・イニシアチブの討論会に出席する。

原題:Yellen Speech May Offer Little Clarity After Vagueness Paid Off(抜粋)

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