英国の元ヘッジファンド運用者、ブドウ栽培しシャンパンに挑戦

  • 英国のスパークリングワイン需要が好機を生み出す
  • 英国はワイン生産の倍増目指す、バンカーらが資金つぎ込む

英イングランド南部のサセックス地方の丘陵地帯では数世紀にわたって地元のビール醸造業者向けに大麦が栽培されている。元ヘッジファンド運用者のマーク・ドライバー氏はそこで所有する農地で大麦の代わりにブドウを栽培し、フランス産のシャンパンに対抗しようとしている。

  ドライバー氏はロンドンの金融街から転職し、英国のスパークリングワインに投資している多くの投資家の1人だ。同氏は自身の資金1400万ポンド(約21億5500万円)余りを投じ、ロンドンの南方約70マイル(約113キロメートル)に位置し、英仏海峡を見下ろすラスフィニー・エステートを英国最大のブドウ園にすることを目指している。

  ドライバー氏はインタビューで、「私はこれまで常に事業の価値を評価してきたため、ここでの機会を誇張して表現するのは難しい。ただ、われわれが作るワインは少なくともシャンパンと同じくらいおいしいものになる可能性があり、それを目指す作業は、コンピューターの前に座って1日中株価の動きを見ているよりも達成感のある知的な挑戦だ」と語る。

  つい最近まで、英国産スパークリングワインをフランス名産のシャンパンと比較する者は事業を畳むよう促されていただろう。しかし、シャンパンの成功と英国のスパークリングワイン需要が好機を生み出している。シャンパン出荷は3年連続で増加。出荷額は年間50億ドル(約5300億円)を超え、過去最高に達している。

  他地域とは異なり、英国のスパークリングワイン用ブドウ園の土壌は、独特の味わいを醸し出すシャンパーニュ地方と似ている。ドライバー氏はシャンパーニュ地方と同じブドウ品種を作付けし、同地方で数世紀続く伝統的な醸造過程を採用。仏シャンパンメーカーのモエ・エ・シャンドンで訓練を積んだフランス人醸造家ジョナタン・メダール氏を採用し、ワイナリーの統括を任せている。

  ドライバー氏はロンドンを拠点とするホースマン・キャピタル・マネジメントの創業パートナーの1人。英国のブドウ生産者が品質面でシャンパーニュ地方に対抗するための道のりは遠い。シャンパーニュ地方の生産量が年間3億本余りであるのに対し、英国のスパークリングワインは約400万本(生産額は約1億ポンド相当)にとどまっている。

  英国は量としてはシャンパンの最大の輸出市場で、昨年の英国向け輸出額は5億1200万ユーロ(約620億円)を超えた。英国のトラス環境・食料・農村相は3月に、同国のスティル(非発泡性)ワインとスパークリングワインの生産量を2020年までに計1000万本に倍増させたいとの意向を示した。過去5年間に英税務当局に登録したワインメーカーは170で、全体では約500。依然としてシャンパーニュ地方の1万6000を大きく下回っている。
  
原題:Hedge-Fund Exile Trades Graphs for Grapes to Challenge Champagne(抜粋)

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