設置場所の制約という課題を解消するだけでなく発電量が増え、水質改善にもつながるーー。パネルを水面に浮かべる水上太陽光発電を関係者が有望視している。

  兵庫県が2014年4月から1年間行った実証実験では、農業用ため池を使った水上太陽光パネルの発電量は、屋上に設置したパネルを14%上回るという結果が得られた。世界各国で水上太陽光を手がける仏企業の日本法人シエル・テール・ジャパンの森一氏社長は「発電量が多い」ことがメリットだと語る。陸上だとパネルは太陽光で高温になる。「同じものが水上だとパネルが冷やされることで、発電量は本来のパフォーマンスを発揮できる状態を維持できる」と説明した。

  日本やドイツ、米カリフォルニア州といった太陽光発電が増加している地域では事業用地の不足が懸念材料となっており、しばしば近隣住民の反対に遭うこともある。水上でのパネル設置は事業機会の拡大にもつながる。

  中国では信義光能が安徽省淮南市に20メガワット(2万キロワット)の発電設備を建設した。同社が世界最大の水上太陽光としているこの発電設備は、石炭鉱山が地盤沈下した場所にできたため池に浮かべられている。

兵庫県加東市の水上太陽光発電所
兵庫県加東市の水上太陽光発電所
写真提供=京セラ

  兵庫県北播磨県民局環境課の田村賢一氏によると、実証試験後、同県内では少なくとも15カ所で水上太陽光による発電が行われている。同県は東日本大震災後に再生可能エネルギーを確保する方針を策定。北播磨地域はため池が多いこともあり「県で先鞭(せんべん)をつけて実証して良好な結果が得られれば、事業者による整備が進む」と考えたのがきっかけだった。

千葉県内のダムでも

  京セラと東京センチュリーリースが共同で出資する京セラTCLソーラーは、千葉県市原市の山倉ダムで13.7メガワットの発電所を建設している。同社としては4カ所目の水上太陽光発電所だ。設計、施工を担当する京セラコミュニケーションシステム環境エネルギー事業部の野田治孝部長によると、3月末に約470本の水中アンカーを打ち込む作業が終了した。現在はシエル・テールが供給する浮体と京セラ製太陽光パネルの組み立て作業を行っている。

  同社営業統括部西日本営業部の都甲秀和部長はため池所有者へのメリットとして「農家150軒くらいで池を持っている所が多く、農家も除草や堤防を強化する維持費が必要。賃貸契約になれば維持運営に当てることができる」と語った。

  シエル・テールはこれまでに出力規模で約44メガワット相当の水上太陽光向けの設備を供給しており、このうち33メガワットが日本国内向けとなっている。このほか、65メガワットが建設中や計画段階にあるという。

  同社のウェブサイトによると、水上太陽光には設置コストが安いというメリットのほかに水の蒸発を防ぐほか、藻の成長を遅らせることができるために水質の改善につながるという効果もあるという。

原題:More Spark From the Sun Spurs Floating Solar Plants Across Japan(抜粋)

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