ドル・円が1カ月ぶり安値から反発、FRB議長講演見極め-107円付近

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  • 早朝に106円38銭と5月4日以来の安値、その後107円19銭まで上昇
  • 目先107円半ばめどに戻り探り議長の政策スタンス確認へ-三井住友信

6日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1カ月ぶり安値から反発した。米雇用統計の下振れを受けてドル売り・円買いが進んだ先週末からの流れが一服。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演に注目が集まる中、日本の政府高官からの円高けん制発言もあり、一時1ドル=107円台を回復した。

  午後3時35分現在のドル・円は106円97銭前後。早朝に106円38銭と5月4日以来のドル安・円高水準を付けた後はもみ合いとなり、午前11時すぎに菅義偉官房長官の発言が伝わると一時107円19銭まで上昇した。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、6月の米利上げの可能性はなくなったものの、7月の可能性が排除されない中でドルをさらに売り込むというわけにもいかないと言い、「米株市場も意外としっかりでリスクセンチメントが底割れしているわけではないことも、ドル・円の底堅さにつながっている」と説明。「目先は107円半ばをめどに戻りを探り、イエレン議長の政策スタンスを確かめることになりそうだ」と語った。

  先週末の海外市場では5月の米雇用統計で雇用の伸びが予想を大幅に下回ったことを受け、米債利回りの低下を背景にドルが急落。対円では109円付近から106円台半ばまでドル安・円高が進んだ。

  菅官房長官は6日の記者会見で、為替相場について、緊張感持って注視をして必要なときは対応すると述べた。これに先立ち、浅川雅嗣財務官は都内で記者団に対し、対ドルで急伸した円相場について「注視している」と語った、と日経QUICKニュースが報じた。

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、先週末に1日で2円余り円高が進んだことで、当然口先介入的な動きは強まるだろうが、5月初旬にかけての円高局面と異なり、今回は投機筋の円ポジションは軽くなっていると指摘。「米財務省の為替報告書の監視リストに入っていることなどから、日本政府が動きづらい連想もある」とし、口先介入が出ても、ドル・円の戻りは限定的だろうと話していた。

米早期利上げ観測が後退

  3日発表された5月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)が前月比3万8000人増と増加幅が2010年9月以来で最少となった。

  米雇用統計の下振れを受け、市場では早期の米利上げ観測が後退。米フェデラルファンド(FF)金利先物を基に算出した6月利上げの予想確率は4%と2日時点の22%から低下。7月までの利上げの確率も55%から27%に半減した。

  こうした中、米国ではこの日、イエレンFRB議長の講演が予定されている。議長は先月27日のイベントで「今後数カ月のうちに」追加利上げが正当化されるとの認識を示した。今回の雇用統計の結果を受けて、米経済や金融政策についてどのような見解を示すか市場は注目している。

  外為どっとコム総合研究所の石川久美子研究員は、イエレン議長はもともとハト派で、今回の講演が5月下旬の講演よりネガティブなトーンとなれば、ドル・円が106円割れを試すこともあり得ると予想。半面、雇用悪化が一過性との見方を示せば、ドル買い戻しの流れとなる可能性もあるとし、「いずれにしろ値動きは派手になりそう」と語った。

  ユーロ・ドル相場は先週末に1ユーロ=1.11ドル台から一時1.1374ドルと5月13日以来の水準までドル安が進行。週明けの取引では1.13ドル台前半へやや値を戻して推移している。

ポンド全面安

  一方、英国の一部世論調査で欧州連合(EU)離脱派が残留派を上回ったことを受け、ポンドが全面安。対ドルでは一時前週末終値比1.1%安の1ポンド=1.4353ドルと3週間ぶり安値を付け、対円では一時4月18日以来初めて1ポンド=153円を割り込んだ。

  みずほ銀行のシンガポール在勤エコノミスト、ビシュヌ・バラサン氏は、「もしドルロングの削減以外に投資家がショートにした通貨があるとすれば、ポンドだろう」と指摘。「ポンドは引き続き劣勢だ」と話した。

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