【今週の債券】長期金利低下か、米雇用失速や好需給で―日銀緩和観測も

  • 長期金利の予想レンジは全体でマイナス0.13%~マイナス0.07%
  • 金利が上昇するリスクは想定されにくい-JPモルガン・アセット

今週の債券市場で長期金利が低下すると予想されている。需給環境の良好さによる投資家の購入意欲の強さに加えて、米国では弱い内容の雇用統計を受けて早期利上げ観測が後退して国債が買い進まれており、国内金利に低下圧力が掛かりやすいことが背景にある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.13%~マイナス0.07%となった。

  市場関係者の注目度の高かった3日発表の5月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数の伸びが予想を大幅に下回り、「リスクオフ」の波が米国や欧州市場に及んだ。5月分の内容の悪さだけでなく、過去2カ月分もさかのぼって下方修正されたことで、高まっていた早期の米利上げ観測が急速に後退。米10年物国債利回りは一時2カ月ぶり低水準を付け、ドイツの長期金利は0.06%台と過去最低に接近した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「月前半にリスクオフが進むことで、6月の日銀金融政策決定会合での追加緩和・補完措置の可能性が高まる」と指摘。「日銀が先週に超長期債オペの減額を決めたことを重視している。追加緩和時期のメーンシナリオを従来7月から6月に変更、内容的にも従来の政策金利・貸し出し支援オペ金利の引き下げ、株ETF(上場投資信託)買い増しに、国債買い入れ目標のレンジ化を加える」と言う。

  国債市場の需給環境は良好だ。今月は利付国債の大量償還を控えている。財務省の発表によると、15日から20日にかけて19兆円弱の償還が予定されている。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「先週は、注目されていた2年国債、10年国債の入札はいずれも順調に消化されるなど、投資家の押し目買い姿勢に変化はなく、良好な需給環境に支えられて下値は限られた。今週も高値圏でのこう着状態が続くだろう」と言う。

30年債入札と5年債入札

  財務省が今週実施する国債入札は、30年物と5年物の2本。7日の30年債入札は、前回債より償還が3カ月延びて回号が51回となる。表面利率は前回債の0.8%から0.3%と過去最低水準に低下する見込み。発行額は前回と同額の8000億円程度となる。一方、9日の5年債入札では、表面利率が0.1%に据え置かれる見込み。発行額は2兆4000億円程度となる。

  JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、30年債と5年債の入札について、「現行の水準に慣れてきたのでともに無難な結果になると思う。金利が上昇するリスクは想定されない。2日の10年債入札結果も強かった。入札前に金利が下がらない限り、大丈夫だと思う」と話した。

  8日に1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が発表される。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は実質で前期比年率2.0%増と、速報値の1.7%増から上方修正される見通しだ。

  米国では6日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が講演を行う。先週末発表の米雇用統計では非農業部門の雇用者数が市場予想を大幅に下回り、今夏の利上げは難しくなるとの見方が出ている。来週には米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えており、イエレン議長の発言内容が注目されている。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物6月物=151円70銭-152円20銭
10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「高値警戒感から上値を追う動きは限られようが、良好な需給環境に支えられて引き続き下値不安も小さい。今週は30年物、5年物と国債入札が2回が予定されている。国債の大量償還を控えて投資家の押し目買い姿勢が続くことで、いずれの入札も無難な結果が見込めよう。主要国の期待インフレ率が大きく上昇する展開はしばらく見込みづらいことから、長期国債利回りの上昇は限定的となろう」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー
先物6月物=151円70銭-152円20銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「週初めは米雇用統計を受けた金利市場の反応になりそうだ。国内の材料では30年債入札が焦点となる。そもそも利回り水準が低いこともあり、入札に際しては神経質になりやすい。現行水準での投資家ニーズを探る最初のリトマス試験紙といった入札になりそうだ。もっとも、弱い入札となるリスクも排除できないことから、今週の30年債利回りは0.29%から0.39%という広いレンジでみておきたい」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物6月物=151円70銭-152円30銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「英国の欧州連合(EU)から離脱するかどうかが要注目だが、23日までまだ多少時間がある。そうしたイベントを控えて動きづらく、円債相場は横ばい圏内での推移ではないか。米国では利上げをやるとすれば7月ではないか。一方、円高圧力が強まった影響で、日銀の追加緩和に対する観測も強まっている」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物6月物=151円50銭-152円25銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.12%~マイナス0.07%
  「今週は1-3月期のGDP改定値くらいで、入札以外はあまり材料がない。イエレンFRB議長の講演は注目されるが、利上げについてはっきりと言わないだろう。仮に言及しても従来の内容から逸脱したものにはならないとみている。国内景気は良くはないが悪くもない。株価は徐々に戻り歩調をたどるとみており、そうなれば、長期金利もレンジ内ながら、どちからといえば上昇する方向ではないか」

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