6月3日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は 次の通り。

◎NY外為(3日):ドル反発局面は終了、雇用減速で利上げ遠のく

ドルの反発局面は終わったと、為替ストラテジストらはみている。

3日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落し、ユーロに対し ては半年で最大の下げとなった。5月の米雇用統計で雇用者の伸びが低 調だったことから、早ければ6月にも政策金利が引き上げられるとの期 待が打ち砕かれた。ブルームバーグのデータによれば、ドルの下げは雇 用統計を受けたものとしては少なくともここ1年で最大。

INGバンクの為替ストラテジスト、ペテル・カルパタ氏(ロンド ン在勤)は「非農業部門雇用者数の伸びが弱かったことで、この3週間 でのドル上昇分が宙に消えた」と指摘。ドル「全面安の展開」で、反発 の材料はあまり多くないと続けた。

5月にドルが上昇したのは年初から続く弱気トレンドが一時的に途 切れただけであることを、今回のドル下落は示唆している。ユーロと円 の上昇継続は、欧州中央銀行(ECB)と日本銀行にとっては望ましく ない状況だ。

カルパタ氏は「ユーロと円は非常に似通った要素を共有している」 とし、「日欧とも中銀は通貨を押し下げるツールをおおむね使い果たし てしまっている」と続けた。

ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで前日比1.9%安 の1ユーロ=1.1367ドル。下落率は昨年12月3日以来最大となる。対円 では2.2%下げて1ドル=106円53銭。主要10通貨に対するドルの動きを 示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は1.5%下げた。

ステート・ストリート・グローバル・マーケッツの北米マクロ戦略 責任者、リー・フェリッジ氏はユーロと円に対して「ドルは売りだ」と 話す。「雇用者数の伸びはひどい内容だった。明るい兆しは見えない。 あまりにも弱い数字なので、米国の成長に不安を抱かざるを得ない」と 続けた。

米労働省が3日発表した雇用統計によると、5月の非農業部門雇用 者数(事業所調査、季節調整済み)は前月比3万8000人増加した。増加 幅は2010年9月以来で最少となり、ブルームバーグがまとめたエコノミ スト予想の下限を下回った。前月は12万3000人増と、速報値の16万人増 から下方修正された。

米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、雇用統計 は「厳しい内容」だとし、利上げを急ぎ過ぎることに対して引き続き警 鐘を鳴らした。先物市場で織り込まれる6月の利上げ確率は4%と、2 日時点での22%から低下。7月の確率も55%から27%に下げた。

フィエラ・キャピタルのジョナサン・ルイス米部門最高投資責任者 (CIO)は、「利上げ先送りでドルは支えを失った」と指摘。軟調な 雇用統計は「金融当局が6月に政策を引き締める根拠が急激に弱まっ た」ことを意味すると述べた。

原題:Dollar Rebound in Tatters as Jobs Slowdown Swamps Fed Rate Plans(抜粋)

◎米国株:S&P500種は下げ渋る、銀行・保険株に売り集中

3日の米国株式相場は下げをほぼ埋めた。一方、雇用の伸び減速 で、金融当局は政策金利の据え置きを強いられるとの観測が広がり、金 融株が2年に及ぶ低迷から抜け出せるとの期待に水を差した。

S&P500種株価指数の金融株指数は1.4%下落。早ければ今夏の金 融政策引き締めで銀行や保険会社の業績見通しが強まると、投資家らは 期待していた。

低金利長期化の見通しで米国債利回りは低下し、ドルも下落した。 ドル安は商品や素材関連株の支えになったほか、海外利益の押し上げに つながるとの見方から多国籍の生活必需品株を後押しした。

公益株指数は2カ月ぶりの高値。一時は日中取引ベースで最高値を つけた。通信サービス株も値上がり。配当利回りの高い銘柄が見直され た。

ウェドブッシュ・セキュリティーズの株式トレーディング担当マネ ジングディレクター、マイケル・ジェームズ氏は「表面上は非常に期待 外れな雇用統計だが、良い点もないわけではない」と指摘。「ドルの大 幅下落がプラスに作用する銘柄はそこそこ順調な相場展開となった。こ れが市場全体の悪化を和らげなければ、もっとひどい状況になっていた だろう」と述べた。

S&P500種株価指数は前日比0.3%安の2099.13で終了。一時は 1%下げる場面もあった。前日は終値ベースで7カ月ぶりの高値をつけ ていた。ダウ工業株30種平均は前日比31.50ドル(0.2%)下落 の17807.06ドル。一時は149ドル下げたが、キャタピラーが1.9%上昇 し、指数の持ち直しをけん引した。ナスダック総合指数は0.6%値下が り。前日までは過去15カ月で最長の7日続伸となっていた。

レイモンド・ジェームズ&アソシエーツの金融株トレーダー、ジェ シー・ルバースキー氏は「2016年に2回以上の利上げがあるとの見方が 強かったが、朝方こうした期待はくじかれた」と指摘。「銀行が必要な 融資の伸びを達成するためには経済の改善が必要で、これは万事順調で はないことを示唆している可能性がある。こうした銘柄は米金融当局を めぐる不透明感が強まることを嫌う。それが今起こっていることだ」と 述べた。

銀行と保険銘柄の下げが最もきつく、ゴールドマン・サックス・グ ループとJPモルガン・チェースが下落。Eトレード・ファイナンシャ ルやチャールズ・シュワブも大きく売り込まれた。金融株のうち、不動 産銘柄は唯一上昇した。

メットライフとプルデンシャル・ファイナンシャルも値下がり。

5月の米雇用者数はほぼ6ぶりの低い伸びにとどまった。これを受 けて、今夏の利上げ期待は後退。フェデラルファンド(FF)金利先物 市場が織り込む7月までの利上げ確率は約28%と、朝方の55%から低 下。6月利上げの確率は2%と、20%から落ち込んだ。

原題:Banks Bear Brunt of Stock Retreat as S&P 500 Pares Most of Loss (抜粋)

◎米国債:急伸、昨年9月以来の大幅な上げ-雇用失速で

3日の米国債は急伸。朝方発表された5月の米雇用統計で雇用の失 速が示され、早ければ今月中と予想されていた米利上げ見通しが弱まっ た。

2年債利回りは昨年9月以来の大幅な低下。5月の雇用者数は3 万8000人増と、ほぼ6年ぶりの低水準となった。5月の増加幅はブルー ムバーグがまとめたエコノミスト予想レンジの下限をも下回った。5年 債と30年債の利回り差は3月以来の最大となった。

ユナイテッド・ネーションズ・フェデラル・クレジット・ユニオン (ニューヨーク)の最高投資責任者(CIO)、クリストファー・サリ バン氏は「かなり衝撃的な内容だ」と述べ、米金融当局は「近く見込ん でいた利上げを確実に見送るだろう。恐らく夏以降の利上げを考えざる を得ないだろう」と続けた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は先週時点で、米経 済の改善が続いており「今後数カ月のうちに」追加利上げが正当化され るとの認識を示していた。FRBのブレイナード理事は3日、「追加の データを待つことが有益になる」と発言した。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーのデータによると、ニューヨ ーク時間午後5時現在、2年債利回りは前日比12ベーシスポイント(b p、1bp=0.01%)低下の0.77%。一時は0.76%まで低下した。同年 債価格(表面利率0.875%、償還期限2018年5月)は7/32上げて100 6/32。週間ベースでの利回りは14bp低下と、4月1日終了週以来で最 も下げた。

10年債利回りは10bp下げて1.70%。週間ベースでは15bp低下 し、1月8日終了週以来で最大の下げとなった。

金利先物データによると、6月利上げの確率はわずか4%。雇用統 計発表前は22%だった。7月利上げの確率は27%、年末までが57%とな っている。

ビル・グロース氏は雇用統計発表後のブルームバーグとのインタビ ューで「利上げ見通しを6月から7月へと確実に遅らせるには十分な衝 撃だ」と述べた。

この日の5年債と30年債の利回り差は128bpだった。

原題:Treasuries Surge by Most Since March as U.S. Jobs Growth Stalls(抜粋)

◎NY金:急反発、米雇用者増の失速で利上げが遠のく

3日のニューヨーク金先物相場は反発し、11週間ぶりの大幅上昇と なった。5月の米雇用者数がほぼ6ぶりの低い伸びにとどまったことを 受け、利上げの論拠が弱まったと受けとめられた。

RJOフューチャーズ(シカゴ)のシニア・マーケット・ストラテ ジスト、ボブ・ヘイバーコーン氏は雇用統計について、「かなり悪い数 字だった」と電話インタビューで指摘。「6月利上げの可能性は消えた も同然だ」と述べた。

ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物8月限は前日 比2.5%高の1オンス=1242.90ドルで終了。中心限月としては3月17日 以来の大幅上昇となった。

原題:Gold Gets a Reprieve as Payrolls Sputter Quashes Fed Rate Bets(抜粋)

◎NY原油:下落、OPEC総会は新たな生産目標で合意できず

3日のニューヨーク原油先物市場ではウェスト・テキサス・インタ ーミディエート(WTI)先物が下落。前日ウィーンで開かれた石油輸 出国機構(OPEC)総会は、新たな生産目標の設定で合意しなかっ た。この日は米石油リグ(掘削装置)の週間稼働数が今年2週目の増加 だったことが明らかになると、原油価格は一段と下げた。

トータス・キャピタル・アドバイザーズ(カンザス州リーウッド) のマネジングディレクター兼ポートフォリオマネジャー、ロブ・サメル 氏は電話取材に対し、「前日届いた朗報はOPEC総会が荒れなかった ということだ」と指摘。「米国の生産業者に痛みを与えることが OPECの目的だが、それは同時にOPEC加盟国にも打撃となる。和 解のプロセスは始まった」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物7月限は前日 比55セント(1.12%)安い1バレル=48.62ドルで終了。週間では1.4% の値下がり。先週までは3週間連続で上昇していた。ロンドンICEの 北海ブレント8月限は40セント(0.8%)下げて49.64ドル。

原題:Crude Oil Declines After OPEC Decides Not to Impose New Ceiling(抜粋)

◎欧州株:下落、低調な米雇用統計で景気への不安浮上

3日の欧州株式相場は軒並み下落した。米雇用統計が景気の強さに 疑問が生じるほど低調だったため、投資家がその影響に考えをめぐらせ た。

指標のストックス欧州600指数は前日比0.9%安の341.29で終了。週 間では2.4%安となり、4週ぶりに下落した。午前中は堅調だったが、 米雇用統計が市場予想を下回り下げに転じた。イタリアやスペイン、ポ ルトガルなど周辺国市場が大きく売られた。

ダンスケ銀行(コペンハーゲン)のチーフアナリスト、アラン・フ ォンメーレン氏は今回の雇用統計について「期待を大きく裏切った。夏 の米利上げに備えつつあった市場で不透明感がかなり強まった」と指 摘。「米労働市場の本物の強さに対し疑問が浮上した。市場への信頼感 が恐る恐る戻りつつあった矢先だけに、実にタイミングが悪い」と述べ た。

ストックス600の業種別指数では、自動車の落ち込みが最大だっ た。ドルに対してユーロが上昇し、輸出企業の収益に響くと懸念され た。周辺国を中心に銀行株の下げも目立つ。

一方、英石油企業のBPは1%を超える上昇。2010年のメキシコ湾 原油流出事故の規模に関し当時の経営陣が虚偽の報告を行ったことにつ いて、米国の投資家と1億7500万ドルの和解金で合意したことが好感さ れた。金属価格の上昇に伴い、BHPビリトンとグレンコアは急伸し た。

原題:Europe Stocks Fall as Dismal Payroll Data Stoke U.S. Growth Fear(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債上昇、各年限利回りが過去最低-安全志向で

3日の欧州債市場ではドイツ国債が上昇した。市場予想を下回る米 雇用統計で安全資産へのシフトが進み、ドイツ10年債利回りは過去最低 となった。

欧州債の指標とされるドイツ10年債は米10年債に追随して上昇。こ の日の米雇用統計を受け、金利先物価格が織り込む6月の利上げ確率は 事実上ゼロに低下した。さらに英国の欧州連合(EU)離脱の可能性が 上昇しつつあるとの臆測も手伝い、ドイツ債は5年債、8年債、9年債 の利回りもそれぞれ過去最低に沈んだ。

ロンドン時間午後5時現在、ドイツ10年債利回りは前日比5ベーシ スポイント(bp、1bp=0.01%)低下の0.068%。価格(表面利 率0.5%、2026年2月償還)は0.45上昇の104.17。5年債利回りはマイ ナス0.416%、8年債利回りはマイナス0.202%、9年債利回りはマイナ ス0.079%となった。

SEBのシニア金利ストラテジスト、マリウス・ダハイム氏(フラ ンクフルト在勤)は「米当局は慎重を期す傾向があり、個人的には6月 利上げの可能性は消え、英国のEU残留が決まったとしても7月も公算 が小さいとみている」との見方を示し、ドイツ10年債利回りが「0.1% 未満で落ち着く可能性もある」と述べた。

原題:German 10-Year Bond Yields Close at Record Low as Havens Rally(抜粋)

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