ソフトバンクのアリババ株売却、次の一手は資産売却加速か買収再開か

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  • アリババ株の売却益は流動性を増やし、債務負担を軽減するのが狙い
  • 「孫社長がさらなる買収を考えてもおかしくない」と中谷吉宏氏

ソフトバンクは資産売却を通じて債務負担の軽減に動き出した。社債投資家はこの動きを歓迎するものの、孫正義社長が売却益を使ってさらなる買収に乗り出すのではないかとの不安も抱いている。

  ソフトバンクグループは1日、電子商取引で中国最大手のアリババ・グループ・ホールディングの保有株式の一部を売却することを明らかにした。2日の発表によると追加分も含めて売却額は計89億ドル(約9750億円)相当になるという。手元流動性を強化し、債務負担を軽減するのが狙い。

  2020年償還のソフトバンクのドル建て債は過去3年の最高値を付けたほか、クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)はこの4カ月で半分以下となった。しかし、ブルームバーグ・デフォルト・リスク・モデルの試算によれば、来年の債務不履行確率は依然0.4%ある。NTTドコモは0.028%。

  朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジャーは、ソフトバンクのアリババ株売却について「保有株式の含み益をキャッシュに換えることで、財務体質を強化していくのに使われるのは好意的に受け止める」としたが、「孫社長のことだから別の投資を考えているのではないかという心配もある」と話した。

  事情に詳しい関係者によると、財務体質の強化に向け今後も資産売却が続く可能性が高いという。米通信大手スプリントの買収を受けて、ソフトバンクの債務は過去4年間に5.6倍に膨らんだ。スプリントは7年連続で損失を計上し、今後3年で100億ドル(約1兆1000億円)の債務が返済期限を迎える。

  ソフトバンクの小寺裕恵広報担当は、アリババ株売却による調達資金は有利子負債の返済に充当するほか、一般事業目的に活用していくと述べたが、それ以上のコメントは避けた。

スプリント

  ソフトバンク債を保有するパインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、他のニッチな事業に気を取られることなく、スプリント再建に専念してもらいたいと指摘する。

  資産構成の見直しを主導するニケシュ・アローラ副社長は、アリババ株の売却益で日本ヤフー株の買収を準備するとの見方を紹介した2日付日本経済新聞朝刊の報道を否定した。

  発表資料によると、株式売却により連結純有利子負債と調整後EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の比率(米スプリント分を除く)は3月末時点の3.8倍から3.3倍程度に改善する見込み。

  ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、アリババ株売却はソフトバンクの格付け「Ba1」に影響を与えないとし、格上げにはさらなる債務削減が必要と指摘している。

  BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、アリババ株の売却益を使って「どうするのかを見極めないとこの件について正確な判断をするのは難しい」と指摘。「今マイナス金利だからといって社債ばかりに偏ってはいけないと思う」とし、アリババ株売却は「資金を作るバリエーションとしてやっているのだったら文字通り良いことだ」と話した。

(第7段落以降を追加し、更新しました.)
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