円上昇、日銀緩和期待の後退や日本株大幅続落で-対ドル一時108円台

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  • 一時108円83銭と先月18日以来の水準までドル安・円高が進行
  • 日銀の援護射撃簡単ではないとの見方で円買い-外為オンライン

2日の東京外国為替市場では円が上昇し、対ドルでは一時2週間ぶりの1ドル=108円台に上昇した。安倍晋三首相が消費増税の先送りを正式に表明したことを受けて日本銀行の追加緩和観測が後退し、日本株が大幅続落する中、リスク回避に伴う円買い圧力がかかった。

  午後3時15分現在のドル・円相場は109円18銭付近。朝方に付けた109円59銭から一時は108円83銭と先月18日以来の水準までドル安・円高が進んだ。円は主要16通貨中韓国ウォンを除く15通貨に対して前日終値から上昇している。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、「昨日からリスクオフの流れの中で、消費増税先送りもあり、日銀の追加緩和期待が後退している」と指摘。「きょうの東京市場で株安が進んだこともあって、円高を助長している」と語った。

  この日の東京株式相場は大幅続落。日経平均株価は前日終値からの下げ幅が一時400円を超える場面も見られた。結局、393円18銭安の1万6562円55銭で引けた。

  安倍首相は1日の会見で、2017年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを19年10月まで2年半延期する方針を正式発表した。経済対策の内容に関しては「最も重要なことは構造改革を断行し、将来の成長を生み出す、民間投資を喚起すること」と指摘。「現下のゼロ金利環境を最大限に生かし、未来を見据えた民間投資を大胆に喚起」すると語った。

日銀の緩和観測後退

  日銀の佐藤健裕審議委員は2日の講演で、2%の物価目標の実現への道のりは長期戦であるとした上で、「現在の短期決戦型の政策の枠組みを持久戦に適した枠組みに修正していくことが今後の課題」だと述べた。具体的には、「資産買い入れの運営の柔軟化、ひいてはマネタリーベース目標の柔軟化」にまず着手すべきだと訴えた。さらに、マイナス金利政策は「緩和効果をもたらすどころか、むしろ引き締め的である」と指摘。「金融システムの安定性に影響を及ぼす可能性がある」とも語った。

  外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、安倍首相は批判を承知で消費税増税を延期したとし、「アベノミクス再起動のための政策総動員で日銀の援護射撃が必要」と指摘。その上で、「佐藤日銀委員の発言でそう簡単ではないというところがにじみ出て、円買いにつながった面がある」と語った。

  一方、米国時間には給与明細書作成代行会社のADPリサーチ・インスティテュートが給与名簿に基づいて集計した5月の米民間部門雇用者数を発表する。ブルームバーグがまとめた市場予想では前月比17万3000人増と、前月の15万6000人増を上回る伸びが見込まれている。

  しんきんアセットマネジメントの加藤純シニアファンドマネージャーは、「ドル・円は米利上げ期待もあるため、目先的には5月12日安値108円23銭がサポートされやすい」としながらも、「米雇用統計で6月もしくは7月の利上げ以降のペースに不透明感が増した場合には、下値リスクは高まる」と言う。ただ、「下値を広げたとしてもチャート的には5月3日安値105円55銭でいったん底を確認した感じもするため、しばらくは105円50銭から111円50銭でのレンジ相場が続く」とみている。

  その他、海外では欧州中央銀行(ECB)の金融政策決定会合や石油輸出国機構(OPEC)総会が予定されている。

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