世界経済、「低成長のわな」に陥りつつある-OECD報告書

  • 超低金利政策に伴うゆがみが増している、「負の循環回路」も
  • 今年の世界経済は伸び悩み-日米の成長見通し下方修正

経済協力開発機構(OECD)は1日、半年ごとの報告書を公表し、世界経済が自己実現的な「低成長のわな」に陥りつつあり、そこでは超緩和的な金融政策が益よりも害をもたらすリスクがあると警告した。

  報告書では、2008年の金融危機の後、需要回復や経済改革の進展が不十分だとして、先進国政府が批判の矢面に立たされた。成長押し上げでは金融当局が過度の負担を強いられてきたとしている。

  金融当局が資産購入を通じて資金供給し、一部ではマイナス金利を導入するなどした結果、一連の政策の効果は薄れつつあり、金融市場のボラティリティ(変動性)を招来する恐れもあると指摘している。

  OECDのチーフエコノミスト、キャサリン・マン氏は報告書で「金融政策が主要な手段として、余りにも長く単独で活用されてきた」とコメント。「財政政策、構造政策の支援がほとんどない中、孤立無援の状態で景気てこ入れに努めた結果、利益とリスクのバランスは崩れつつある」との分析を示した。

  マン氏はさらに、「負の循環回路が作動している」として、需要不足や世界的な不確実性、改革の進展の遅れが投資を阻害する一方、貿易の伸びも低調なままだと論じた。

拡大するゆがみ

  OECDは「金融政策それ自体では短期および長期の成長を喚起することはできず、ゆがみが増している」とした上で、超低金利やマイナス金利は銀行の業績を圧迫するとともに、年金基金や保険会社の財務に負担をもたらす一方で、消費刺激の効果は「低下」していると付け加えた。

  OECDが示した最新の経済見通しでは、今年の世界の成長は3%増と2月18日の前回予想と同じ数字に据え置かれた。2015年の成長も3%増だったことから伸び悩みを意味する。17年は3.3%増への加速を見込む。

  マン氏は「もっと大規模に財政政策を動員する必要があり、金融政策によって整備された環境を活用することもできる」と論評。各国政府は現在、非常に低い金利で超長期の資金を確保し、財政面の余地を効率的に拡大することができると説明した。

ユーロ圏は上方修正

  OECDは今回、今年の米国と日本の成長見通しを下方修正したのに対し、ユーロ圏の見通しは上方修正した。このうち米国の国内総生産(GDP)見通しは1.8%増と、2月時点の2%増から引き下げられた。17年の見通しは2月時点と変わらずの2.2%増。

  米国では「年初にかけてソフトパッチ(景気の一時的な軟化局面)に見舞われた」とするOECDは、米金融当局による漸進的な政策が、予測対象期間を通じて景気を下支えする水準に金利を据え置くことになり、それはインフレ圧力の後退や世界的な需要の不振を踏まえれば「おおむね適切」との判断を示した。

  ユーロ圏の今年の成長見通しは1.6%増(2月時点は1.4%増)に上方修正。17年は1.7%に据え置いた。今年と17年の中国の成長予想はそれぞれ6.5%増、6.2%増に据え置きとなった。

  マン氏は「世界経済が低成長のわなにとどまる期間が長期化すれば、負の循環回路から脱して市場の力を回復させ、高成長の軌道に経済を押し上げるのが一層難しくなる」とし、「負のショックがあれば世界は深刻な低迷に逆戻りする恐れがある」と記した。
  
原題:OECD Blasts Governments as World Slips Into ‘Low-Growth Trap’(抜粋)

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE