ECBドラギ「マジック」は無いも同然-欧州株式投資家は知らんぷり

  • ECBの月間購入の対象に6月から社債が含まれる
  • ストックス欧州600指数、15年3月のQE開始以降は結局マイナス

株式投資家は欧州中央銀行(ECB)が今月開始する社債購入を、意味あるイベントとして受け止めていないようだ。

  その関心の薄さは、JPモルガン・チェースが刺激策の一環として実施される社債購入から最も恩恵を受けると指摘している企業の株価リターン低迷に見ることができる。ECBが3月に社債購入について発表して以降、これら企業の株価は3.3%値上がりした。同期間のストックス欧州600指数の上昇率は2.5%。

  この展開は、欧州株式市場が年初以降に見舞われている停滞も示す。相場を押し上げる起爆剤の可能性を企業の減益見通しや世界の成長減速をめぐる懸念がかき消してしまっている。もっとも、投資家がドラギECB総裁の打ち出す策をもはや大歓迎しないのも理解できる。2015年の国債購入プログラムの発表を受けて欧州株は大幅に上昇したが、その後はあっという間に上げを消し、現在ではこの量的緩和(QE)が始まった時の水準を下回っているからだ。

  プライム・パートナーズ(ジュネーブ)のフランソワ・サバリー最高投資責任者 (CIO)は「企業が債務負担が軽くなって恩恵を受けたとしても、収益を脅かすあらゆる要因がそれ以上のマイナスの影響をもたらすということが問題だ」とし、「しかも、これらの銘柄は特に割安なわけではない。投資家は非常に懐疑的だ。QE第1弾が欧州企業には大した効果をもたらさなかったからだ」と指摘した。

  JPモルガンは5月23日付のリポートで、ECBの社債購入から恩恵を受ける銀行以外の銘柄にフランスの複合企業ブイグやドイツ肥料メーカーのK+Sなど41社を挙げた。これら企業の社債は投資適格級で利払いコストの低下から最も高い節減効果を得られるという。これら41社の株価収益率(PER、予想収益ベース)は平均して20倍近くと、ストックス600指数全体より25%割高だ。

  ECBは15年3月にQEを開始。それ以降、ストックス600指数は12%下落した。ドラギ総裁は4月から月間購入額を800億ユーロ(約9兆8500億円)に拡大し、6月からは買い入れる対象に社債も含めると3月に発表した。ECBは2日に定例政策委員会を開催し、総裁は記者会見に臨む。

原題:Draghi Stimulus May as Well Not Exist to Europe’s Stock Traders(抜粋)

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