安倍首相:消費増税の2年半延期を正式発表-参院選で信問う

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  • 総合的かつ大胆な経済対策を秋に講じる-記者会見
  • 参院選は与党で改選議席の過半数確保目標-7月10日投票

安倍晋三首相は1日夕の記者会見で、2017年4月に予定していた消費税率の10%への引き上げを19年10月まで2年半延期する方針を正式発表、参院選で国民の信を問うと表明した。与党で改選121議席の過半数確保を目標に掲げた。「総合的かつ大胆な経済対策」を秋に講じる方針も明らかにした。参院選日程を6月22日公示、7月10日投票とする意向も示した。

  首相はこれまでリーマン・ショック級や大震災級の事態が発生しない限り、消費増税を予定通り実施する考えを示してきたが、現時点でリーマン・ショック級の事態は発生していないと言明。熊本地震を大震災級として延期の「理由にするつもりもない」とも語った。その上で、今回の増税延期は従来の約束とは異なる「新しい判断」であり、「参院選を通して国民の信を問いたい」と語った。増税を延期する法案は秋の臨時国会に提出する考えを示した。

  民進党など野党側はアベノミクスは失敗したとして対決姿勢を強めている。首相は会見で、「公約違反ではないかとのご批判があることも真摯(しんし)に受け止めている」と語った。20年度までに国・地方を合わせた基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させるとの財政健全化目標は堅持する。

  経済対策の内容に関しては「最も重要なことは構造改革を断行し、将来の成長を生み出す、民間投資を喚起すること」と指摘。「現下のゼロ金利環境を最大限に生かし、未来を見据えた民間投資を大胆に喚起」すると語った。その上で、新たな低利貸付制度によって「21世紀型のインフラを整備」すると宣言。リニア中央新幹線の計画前倒しや整備新幹線の建設を加速させる考えを示した。保育所や介護施設の整備も進めると言明した。

影響額は約年4.6兆円の試算

  安倍首相は伊勢志摩サミット閉幕後の記者会見で、「世界経済が危機に陥るリスクに立ち向かうため、あらゆる政策を総動員して、アベノミクスのエンジンを、もう一度最大限にふかしていく決意だ」と表明。その上で、「日本として何をなすべきか、消費税率引き上げの是非も含めて検討し、夏の参院選の前に明らかにしたい」と消費増税を見直す考えを明らかにしていた。

安倍晋三首相(左)と米オバマ大統領

Photographer: Akio Kon/Bloomberg *** Local Captions *** Shinzo Abe; Barack Obama

  首相は14年11月、消費税率の10%への引き上げを当初予定の15年10月から17年4月まで1年半延期することを決断。直後に衆院を解散した。10%への増税延期は今回で2回目。

  1日の記者会見では、再延期に当たって衆参同日選で国民の審判を仰ぐ考えはなかったかと問われ、衆院解散が「私の頭の中をよぎったことは否定しない」と述べたが、熊本地震の被災地で多くの人が避難生活を送っている現状なども考慮し、「参院選で国民の信を問いたいと判断した」と述べた。

  16年度予算を基にした財務省の試算によると、消費税の税収は国・地方合わせて年度ベースで1%で約2.8兆円。引き上げ見送りで、軽減税率による減収分約1兆円を差し引いても、消費税率2%分に当たる税収約4.6兆円分の穴が開くことになる。

民進は2年延期を主張

  民主党政権下で社会保障・税一体改革担当相として消費増税法成立に関わった民進党の岡田克也代表は既に5月18日の党首討論で2年延期すべきだとの見解を表明している。

  民進党の岡田氏は31日の衆院本会議で、首相の消費増税再延期方針について「原因は安倍総理の経済失政にある」と批判。首相が14年11月に1回目の増税延期を発表した際に「再び延期することはない」などと発言していたことを挙げ、「内閣総辞職に値する重大な公約違反だ」とも語った。

  ブルームバーグが入手した民進党の参院選マニフェストの原案によると、同党はアベノミクスは失敗し、来年4月に消費税率を10%に引き上げられる経済状況ではなく2年間延期すると主張。行き過ぎた金融緩和 やマイナス金利の負の側面を指摘し、株式投資で損失を出している公的年金積立金の運用見直しなども打ち出している。

(第1、2、4、7段落を更新します.)
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