債券下落、高値警戒感や10年債入札のヘッジ売りで-緩和観測後退も

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  • 先物は10銭安の151円97銭で取引終了、一時2銭高の152円09銭に上昇
  • 10年入札結果:最高落札利回りが過去最低、応札倍率は上昇

債券相場は下落。この日実施の10年債入札が順調な結果となり、いったん買われた後、高値警戒感が強まったことに加え、落札した証券会社からのヘッジ売りが優勢になったとの見方が出ていた。

  2日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比2銭安の152円05銭で取引を開始。入札結果発表後には水準を切り上げ、一時2銭高の152円09銭まで上昇した。その後は再び売りが優勢となり、151円92銭まで下落。結局は10銭安の151円97銭で引けた。

  三菱UFJ信託銀行資金為替部商品課の鈴木秀雄課長は、「10年債入札は強かった。新発債だったのでそれに対するニーズがあったということだろう」と指摘した。ただ、「相場は入札後に買われたものの、売り戻されるなど、方向感がない動き。札を入れたディーラーなどのヘッジ売りが中心なのではないか。先物では152円10銭超では高値警戒感が出やすいのもある」と説明した。

  現物債市場で長期金利の指標となる10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.115%で始まり、マイナス0.11%に上昇した。一時マイナス0.125%と4月22日以来の低水準を付けたが、再びマイナス0.115%に戻している。新発5年物の127回債利回りは1.5bp高いマイナス0.225%を付けている。新発20年物の156回債利回りは1bp高い0.26%で始まり、0.25%に戻した。新発30年物の50回債利回りは1bp高い0.33%で開始し、その後は0.315%に下げている。

  三菱UFJ信託銀の鈴木氏は、「今日の超長期は先物対比でしっかりで推移している。5年債が甘くなっているが、昨日超長期ゾーンがスティープニングして、スプレッドが開いたので超長期への入れ替えが出ているかもしれない」と述べた。

  財務省が発表した表面利率0.1%の10年利付国債(343回債)の入札結果によると、最高落札利回りがマイナス0.092%となり、過去最低を更新した。平均落札利回りはマイナス0.094%だった。最低落札価格は101円94銭と予想を3銭上回った。小さければ好調さを示すテール(最低と平均落札価格の差)は2銭と前回の5銭から縮小。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は4.11倍と2014年8月以来の高水準となった。

  10年債入札について、パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「回号が変わってどうなるかと思ったが、しっかりした結果だった。応札倍率も4倍を超え、テールも流れていない」と話した。

  SMBC日興証券の竹山聡一金利ストラテジストは、「入札結果はしっかり。消費増税の再延期は織り込み済みで、売り材料視されていない。円高・株安に振れているが米利上げに向けた調整や中国経済をめぐる不安など諸説あり、やや不安定な動き」と分析した。

佐藤審議委員講演

  日銀の佐藤健裕審議委員は、釧路市内で講演し、2%の物価目標の実現への道のりは長期戦であるとした上で、「現在の短期決戦型の政策の枠組みを持久戦に適した枠組みに修正していくことが今後の課題」と指摘。具体的には「資産買い入れの運営の柔軟化、ひいてはマネタリーベース目標の柔軟化」にまず着手すべきだと訴えた。

  みずほ証券の丹治倫敦シニア債券ストラテジストは、「日銀が政策決定で協調的に動くことはないとみている。国債買い入れの拡大が困難なほか、マイナス金利の引き下げにも限界はある。緩和余地が少ない中で、黒田東彦総裁の任期中での追加緩和はせいぜいあと1、2回ではないか」と話した。パインブリッジの松川氏は、「日銀の追加緩和が遠のいたとの見方から、円高・株安が進んでいるので、外部環境は悪くない」と述べた。

  1日の米国債相場は長期債が小幅高。米10年物国債利回りは前日比1bp低下の1.84%程度で引けた。もっとも、米供給管理協会(ISM)が発表した5月の製造業総合景況指数で製造業が予想外に拡大ペースが加速したことを受けて、相場の上げ幅は縮小した。この日の東京株式相場は大幅下落。日経平均株価は前日比393円18銭安の1万6562円55銭で引けた。

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