OPEC加盟国はサウジ主導の戦略堅持へ-総会控えた主要国の立場

石油輸出国機構(OPEC)は6月2日にウィーンで総会を開くが、市場シェアを拡大し非加盟国を市場から追い出すサウジアラビア主導の戦略が奏功しつつある兆候が見られる中、加盟国は同戦略を堅持すると予想される。このため今回の総会は、ベネズエラとイランがサウジを公然と批判する事態となった昨年12月の総会ほど緊迫しない見通しだ。

  原油価格の下落容認により、高コストの産油国は市場から追い出されつつある。その結果、供給過剰が緩和され原油相場は1月の水準を80%余り上回る1バレル当たり約50ドルまで回復した。ブルームバーグが調査したアナリスト27人中26人がOPECはこのサウジ戦略を変えないと予測。原油の増産凍結という代替案を話し合った先月のドーハ協議は不調に終わった。

  そのほか、OPEC総会ではバドリ事務局長の後任人事で合意する可能性がある。これまで後任の人選で一致できず、バドリ事務局長の任期は延長されてきた。ここ数カ月で新たに浮上した3候補はナイジェリアのモハメド・バーキンド氏、インドネシアのマヘンドラ・シレガル氏、ベネズエラのアリ・ロドリゲス氏だ。
  
  以下にOPEC主要国とアナリストらによる最新のコメントをまとめた。OPECの供給量に占める各国の割合は4月の水準に基づく。各国の予算均衡に必要な原油価格水準は、特に明記していない限り国際通貨基金(IMF)のデータに基づいている。

イラン
・予算均衡に必要な原油価格:61.50ドル
・OPECの生産に占めるシェア:11%
・イランは1月に国際制裁が解除された後、エネルギー産業の再建と原油輸出の回復に努めている。国際エネルギー機関(IEA)の直近の原油市場報告書によると、同国の輸出は既に日量200万バレルと、制裁前の水準に迫っている。国営イラン石油公社(NIOC)のマネジングディレクター、ロクノディン・ジャバディ氏は、今後も輸出回復に集中するとして、同国が原油増産の凍結に参加する計画はないと述べている。

イラク
・予算均衡に必要な原油価格:59.70ドル
・OPECの生産に占めるシェア:13%
・イラクの生産は2014年半ば以来40%超増加。輸出は過去最高水準に迫っている。しかしエナジー・アスペクツとFGEのアナリストによれば、歳入減少により同国の投資能力が損なわれている上に、原油の貯蔵・輸出能力も限界に達しつつある。

クウェート
・予算均衡に必要な原油価格:52.10ドル
・OPECの生産に占めるシェア:8.7%
・クウェートは数カ月以内に日量300万バレル強まで原油生産を拡大する計画。これは4月の石油労働者ストの際の水準の2倍に相当する。サレハ石油相代行は今月18日、OPECの戦略は「うまく行っている」と述べた。

サウジアラビア
・予算均衡に必要な原油価格:66.7ドル
・OPECの生産に占めるシェア:31%
・サウジは、ムハンマド・ビン・サルマン副皇太子に近いとされるファリハ新エネルギー産業鉱物資源相の下で過去最高水準に近い原油生産を維持する見通し。シティグループのエド・モース氏らアナリストは電子メールで送付した今月9日付リポートで、ムハンマド副皇太子が原油増産凍結計画を頓挫させたと述べ、ファリハ・エネルギー相の起用は「減産はもちろんのこと、増産凍結にサウジが同意することはない可能性が極めて高い」ことを示すと指摘した。

アラブ首長国連邦(UAE)
・予算均衡に必要な原油価格:71.8ドル
・OPECの生産に占めるシェア:8.9%
・ネヤディ・エネルギー次官は同国が原油市場の安定を依然支持すると述べた。

ベネズエラ
・予算均衡に必要な原油価格:121.06ドル(RBCキャピタル・マーケッツ)
・OPECの生産に占めるシェア:7.4%
・RBCキャピタル・マーケッツは、原油相場の混乱に伴う著しい不安定化で特に大きなリスクにさらされるOPEC加盟5カ国を「フラジャイル・ファイブ」と呼ぶが、ベネズエラはその1国。デルピノ石油・鉱業相は増産凍結合意を最も熱心に主張した1人だった。米コロンビア大学の世界エネルギー政策センターのディレクター、ジェーソン・ボードフ氏はベネズエラは恐らくサウジの戦略に従わざるを得ないと指摘した。

原題:Oil States Expected to Stick by Saudis: OPEC Reality Check(抜粋)