東南アジアが中国向けしのぐ-日本の直接投資、フローもストックも

  • ASEAN向け投資額は5年でほぼ3倍に、背景に日中の緊張も
  • 市場の潜在力や低い労働コストも魅力に

東南アジア向けの日本の直接投資が増え続けている。日中関係の緊張が企業の投資行動にも影響を及ぼす一方、東南アジア市場の潜在力や低い労働コストが投資の魅力となっている。

  日本貿易振興機構(JETRO)の集計によると、2015年の日本から東南アジア諸国連合(ASEAN)各国へのフローベースの直接投資額は3年連続で中国・香港向けを上回った。また日本銀行のデータによると、ASEANへの日本からの直接投資残高はこの5年間でほぼ3倍に増え、20.1兆円となった。

 

 

  2012年に尖閣諸島などをめぐって両国間の緊張が高まったのを背景に、日本から中国への直接投資は減速し、日本企業はリスク分散の観点から投資の多様化に力を入れる動きが広がった。

  DBSグループの馬鉄英エコノミストは「日本から見ればASEAN市場は魅力的だ」と言う。1人当たり所得が比較的低く人口構成も若いので、経済成長の潜在力が大きい国が多いと指摘。中国に比べて低い労働コストに加えてオープンな市場も日本からの投資には魅力になっているとみる。

  国際協力銀行が実施した調査によると、中国で中期的に事業を強化・拡大したいと回答した企業の割合は、2011年度には73%だったのに対し、15年度には48%に低下した。15年度の調査では、ASEAN5(シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン)への投資を拡大したいと回答した企業の割合が56%だった。