ファンドが「家庭教師」に、東証1部昇格の秘訣指南-株価5倍目指す

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  • 大間まぐろが地元で安いのと同様「2部だと割安な評価」と水嶋社長
  • 最大運用可能額は300億円、目標リターンは10-15%

独立系運用会社シンプレクス・アセット・マネジメントは6月から、企業の東証1部昇格を後押しするファンドの運用を始める。2部やマザーズなど中小型株市場に上場していることで、証券会社などから十分な経営指導を受けていない企業に「家庭教師役」となって、企業価値向上を目指す。

  水嶋浩雅社長は、東証1部は「まぐろの築地市場と一緒」と指摘する。例えば青森県の大間まぐろは、地元市場よりも市場参加者の多い築地の方が高値で取引される。企業も同様で、証券会社のアナリストカバーも少なく「東証1部と同じ実力の企業でも2部などローワーマーケットに上場しているだけで割安に評価されている」と述べ、1部昇格を果たせば株価上昇の余地は大きいと話した。

  新ファンドの投資対象は東証1部以外に上場する約1700銘柄のうち、1部昇格の意思があり、2-3年かけて5倍程度の株価上昇が見込める企業と、半年から1年で1部上場を狙える企業を半分ずつ100銘柄程度に投資する。当初の運用資金は30億円で最大運用可能額は300億円、目標リターンは10-15%。

  中小型株銘柄の企業では、東証2部などに上場を果たすと、それまで資本政策や社内管理体制を手取り足取り指南していた投資家のベンチャーキャピタル(VC)が株式を売却、関係が切れる。主幹事証券も上場後のファイナンス需要が小さいことから、関心が薄れる傾向にあるという。水嶋社長は「普通の会社はこの間、ぽかーんと家庭教師がいなくなる」と話し、同ファンドは投資家としてIR資料の作成や人材紹介など1部昇格のためのサポートを提供する方針だ。

中小型株は株価上昇が容易

  水嶋氏によると、中小型株は「株価と営業利益がパラレル」で動くことが多く、利益が伸びれば株価も上昇する。トヨタ自動車のように利益が何兆円もの企業の利益と株価を2倍にすることは難しいが、「営業利益が5億円の企業を30億円にすることはそれほど難しくない」と言う。

築地市場

Photographer: The Asahi Shimbun via Getty Images

  新ファンドは、シンプレクスが08年2月から運用するバリューアップ型ファンドで採用していた戦略の一つを基に設定される。バリューアップ型からスピンオフしたファンドには他に時価総額水準のキャッシュを保有する企業に投資する「ネットキャッシュ」や、割安な子会社に投資し割高な親会社を売る「親子上場」もある。バリューアップ型の運用額は883億円、運用開始からの累積リターンは81.2%。

  水嶋氏は、東証2部、マザーズ、ジャスダックのそれぞれの違いが不透明で、将来的には市場が統合されると予想している。

(第6段落に加筆します.)
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