SMBC日興:米債引受で10人採用へ、マイナス金利調達も可能な米国

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三井住友フィナンシャルグループ傘下のSMBC日興証券は、米国での社債引き受け業務強化に向けニューヨーク拠点で10人程度を採用する方針だ。海外企業の起債案件食い込みに加えて、日本企業にとっても通貨スワップ取引を利用すれば調達コストが日本より下がるケースもあるとして、外債発行需要の取り込みを狙う。

  SMBC日興の吉良俊志・資本市場本部長はブルームバーグ・ニュースの取材で、費用とのバランスを考えながらしっかりと人員を強化したいとし、早ければ今年度中にも態勢を整えると話した。吉良氏はまた、国内企業の外債発行需要の増加を見込み、日本でも外債発行の窓口となる担当者を新たに配置するとした。

  日本国債は残存年数13年程度まで利回りがマイナスに沈んでいるが、信用力で劣る社債のマイナス金利発行は国内では困難だ。一方、米債で調達したドルを通貨スワップ取引で円に交換するとコストが下がり、実質マイナス金利での円調達も一部可能となる。ドル資金は日本銀行のマイナス金利政策の影響を受ける円よりも需要が多く、ドルと引き換えに円を安く調達できるためで、ドル・円ベーシススワップ5年物は3月、過去最低のマイナス105.5ベーシスポイント(bp)まで低下した。

  吉良氏は「今の環境では、円調達が一番割高。高格付けの発行体であれば、ドル債を円ベースに直せば実質マイナス金利で調達できる」と指摘。「ドル債マーケットは巨大で、1週間で日本の1年分の起債額になることもある。この市場のリーグテーブルで5位、10位はもとより、ベスト15位、20位に入れれば収益は大きい」と述べた。

  SMBC日興をはじめとする3メガ系証券は5月、中日本高速道路が発行したドル債2本で共同主幹事を務めた。うち1本は5年債で、表面利率は2.362%。ブルームバーグの試算によるとこれは通貨スワップで円に換えた場合、単純計算でマイナス0.21%の利回りとなる。

  中日本高速道路広報室は「今年度の年間社債発行額は3000億円を超える見込みであり、資金調達手段の多様化を図っている。米ドル債は国内債対比でも競争力のあるコストを実現している」とメールで回答した。

  日本の3メガグループは、海外の大型企業合併・買収(M&A)案件でつなぎ融資を出すことなどで、その後社債に借り換えた場合に主幹事指名される機会が増えている。1月にベルギーのビールメーカー、アンハイザー・ブッシュインベブがSABミラー買収のために計460億ドル(約5兆1000億円)起債した際も、3メガそろって共同主幹事団に入った。今年前半の3メガグループの米投資適格社債の引き受け額は計370億ドル(約4兆1000億円)と、5年前の10倍に膨らんでいる。

みずほの躍進

  米社債市場では、米MUFGユニオンバンクを傘下に持つ三菱UFJフィナンシャル・グループが邦銀引き受けランキングで常にトップだったが昨年、英RBSの北米ローン事業を買収したみずほフィナンシャルグループが追い抜いた。

  SMBC日興の吉良氏は「ローン事業ができる証券会社がデットでは主役というのがはっきりしてきた」と指摘。昨年くらいからローンと社債を組み合わせた提案への顧客ニーズが強まる中、「みずほの躍進を見て、より体制強化のスピードを速めないといけないと危機感を持った」という。

  米債券業務についてSMBC日興は昨年来、既発債売買を手掛ける営業部門で現地採用による初のトップを迎えるなど強化してきた。ブルームバーグのデータによると、新発投資適格債引き受けでは、年初来で初めてトップ20入りし、金額ではすでに昨年の総額を上回る68億ドルとなっている。吉良氏は「10位を目指していきたい」と述べた。