ドル・円が1カ月ぶり111円台、米早期利上げ観測で-株高でリスクオン

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  • 一時111円39銭と4月28日以来の水準までドル高・円安が進行
  • もうしばらくはドル高圧力がかかりやすい-大和証券の亀岡氏

30日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が約1カ月ぶりとなる1ドル=111円台へ大幅上昇。イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長が先週末に数カ月以内の利上げの可能性を示唆したことを受け、ドル買い・円売りが強まった。

  ドル・円相場は一時111円39銭と4月28日以来の水準までドル高・円安が進行。前週末の米国株が堅調で、消費増税延期など国内の政策期待を背景に週明けの日本株が上昇したことも追い風となり、先週末のニューヨーク終値から1円余り値を切り上げた。午後3時25分現在は111円34銭前後。

  大和証券の亀岡裕次チーフ為替アナリストは、ドル・円の上昇は「米国の利上げ期待の高まりによるドル高がほとんど」で、「もうしばらくはドル高圧力がかかりやすい」と指摘。もっとも、「そもそも景況感があまり大きく改善していない中で利上げとなると、リスクオフに働きやすい」と言い、ドル・円は「112円台に乗せるのがせいぜい」と語った。

  FRBのイエレン議長は27日、ハーバード大学でのイベントで、米経済の改善が続いており、「今後数カ月のうちに」追加利上げが正当化されるとの認識を示した。同日発表された1-3月期の米実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整済み、年率)は前期比0.8%増と速報の同0.5%増から上方修正された。

イエレンFRB議長

Photographer: Scott Eisen/Bloomberg

  米国では今週、5月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数や雇用統計が発表される。米金利先物市場の動向に基づきブルームバーグが算出した6月利上げの確率は27日時点で30%と、2週間前の4%から上昇。7月までの確率は54%(2週間前は17%)となっている。

  セントルイス連銀のブラード総裁はソウルでの講演後、記者団に対し、市場は世界的に米国の利上げの可能性に十分に備えていると述べた。 

  三菱東京UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、「米国の利上げ観測がそれほどリスクオフをもたらしていないので、今はドル高・円安が進みやすい」とし、目先は「4月28日の日銀追加緩和期待の時に付けた111円90銭前後が意識される」と指摘。その上で、足元リスクオフになっていないのは原油相場が堅調なためで、今後米利上げ観測でドル高が進み、本来逆相関性の強い原油相場が下がってくれば、再びリスクオフの雰囲気が出やすくなると予想した。

  今週は6月2日に石油輸出国機構(OPEC)総会が開かれる。ニューヨーク原油先物相場は先週、一時約6カ月ぶりに1バレル=50ドル台を回復。アジア30日の時間外取引では49ドル台で推移している。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数は2カ月半ぶり高値まで上昇。ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.11ドル台前半から一時1.1098ドルと3月16日以来の水準までユーロ売り・ドル買いが進んだ。

消費増税延期

  安倍晋三首相は28日、消費増税を先延ばしする方針を与党幹部や麻生太郎財務相に伝えた。同日付の日本経済新聞朝刊は、首相が主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で訴えた世界経済の危機回避に向け、経済対策を盛り込んだ2016年度第2次補正予算案を編成する方針を固めたと報じた。

  30日の東京株式相場は続伸。日経平均株価は200円超上げて、約1カ月ぶりに1万7000円台を回復した。

  ブルームバーグのデータによると、円は主要16通貨のうち韓国ウォンを除く15通貨に対して前週末比で下落。対ユーロでは1ユーロ=122円台後半から一時123円74銭と20日以来の水準まで円安に振れた。

  みずほ証券金融市場調査部の山本雅文チーフ為替ストラテジストは30日付のリポートで、「財政政策を通じた成長率押し上げは円高要因だが、同時に追加金融緩和が行われるとの期待が高まる場合には『ヘリコプターマネー』の連想も働きやすく円安要因となる」と分析。また、国債格付けへの悪影響懸念も円安要因となり、「全体としてはどちらかという円安要因として捉えられそう」と指摘した。

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