長期金利が上昇、利上げ期待受けた米債安で-オペで売り込みにくさも

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  • 超長期ゾーンが軟調、長期金利はマイナス0.115%に上昇
  • 日銀買い入れオペ効いており、需給引き締まり変わらず-三井住友銀

債券市場では長期金利が小幅上昇した。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演を受けて前週末の米国債相場が早期利上げ期待から下げた流れを引き継ぎ、売りが先行した。半面、日本銀行の長期国債買い入れオペによる需給の良さが相場の下支えとなった。

  30日の現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.115%で開始し、その後も同水準で推移した。新発20年物の156回債利回りは午後に入って1.5bp高い0.255%で取引されている。新発30年物の50回債利回りは0.5bp高い0.31%で開始し、0.32%に上昇後、0.315%に戻している。新発40年物の9回債利回りは1.5bp高い0.385%で開始後、0.39%を付ける場面もあった。

  三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、「イエレンFRB議長の発言は数カ月以内に利上げが適切という内容。6、7月に利上げのタイミングという見方からは幅を持たせている。ただ、米利上げ地ならしの延長線上の発言で、米金利にはアゲンスト」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月の6月物は、前週末比2銭安の152円01銭で取引を開始した。直後に売りが優勢になると、一時7銭安の151円96銭まで下落した。その後は横ばい圏でもみ合いとなり、結局は変わらずの152円03銭で引けた。

  この日の東京株式相場は続伸。日経平均株価は前週末比233円18銭高の1万7068円02銭で引けた。外国為替市場ではドル・円相場が一時1ドル=111円台前半と約1カ月ぶり水準までドル高・円安が進んでいる。

  日銀が実施した今月10回目となる長期国債の買い入れオペの結果によると、残存期間「1年超3年以下」と「3年超5年以下」の応札倍率が前回のオペから上昇し、「5年超10年以下」は低下した。オペ結果自体の債券相場への影響は限定的だった。

  三井住友銀の宇野氏は、「外部環境は円安・株高とアゲンストだが、そのわりに債券はしっかり」と指摘。「債券にとって大きく売りを呼ぶような状況ではない。日銀の買い入れオペが効いており、需給の引き締まりは変わらず。需給はフォローという見方になっている」と述べた。

FRB議長発言

  イエレン議長は27日、ハーバード大学(マサチューセッツ州ケンブリッジ)でのイベントで、米経済の改善が続いており、「今後数カ月のうちに」追加利上げが正当化されるとの認識を示した。これを受けて、同日の米国債相場は下落し、金融政策に最も敏感な2年債の利回りは前日比4bp上昇の0.91%。10年債利回りは2bp上げて1.85%となった。

  バークレイズ証券の押久保直也債券ストラテジストは、「イエレンFRB議長のタカ派的な発言で米債が売られた流れを引き継いで弱めにスタートしているが、日銀買いオペで売り込みづらく、下値も限定的」と指摘。「FRBは6月か7月に利上げに踏み切りそうで、足元の米債市場でも織り込みが進んでいる。今週末に発表される米雇用統計は重要で、円債市場でも一定の警戒感が続きそうだ」と言う。

  財務省は31日に2年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率は0.1%に据え置かれる見込み。発行額は前回と同額の2兆3000億円程度となる。