米シティ:日本で劣後債など引き受け強化、格付け意識の企業ニーズ汲む

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  • 大手商社やオリックスが採用、マイナス金利受け調達コストも低下
  • 円高や資源安、消費増税が不確定要因となる中、調達余力を確保

シティグループは劣後債など資本性のあるハイブリッド証券の引き受けによる日本企業の資金調達業務を強化する方針だ。事業拡大や借り換えなどで資金需要を抱えながら、円高や資源安など事業環境の悪化で借り入れや普通社債による調達では格付けが影響を受けかねない企業のニーズに応える狙いだ。

  シティグループ証券の藤川大策資本市場本部長は、日本企業は消費増税や円高による減収など多くの不確定要素を抱えており、格付けを守る手を打たないと今後の買収・合併(M&A)で調達手段が狭まったり、コストが上がる可能性があると指摘。「国内外の市場でさまざまな調達手段を提案していきたい」と述べた。

  ハイブリッド証券とは劣後債をはじめ優先出資証券や劣後ローンなどのうち資本性を持つ負債を指す。日本銀行のマイナス金利政策で社債利回りが低下する中、返済順位が劣るなどリスクを伴うハイブリッド証券の利回りは相対的に高い。格付けを意識する企業と高い利回りを確保したい機関投資家ニーズは一致する。

  三菱商事は昨年6月、計2000億円の60年劣後債を発行。国内事業会社初の公募ハイブリッド証券となった。三井物産は今月、総額3500億円を劣後ローンで調達すると発表。格付け上50%の資本算入を見込む。両社の前期決算は資源価格下落などの影響で創業以来の赤字となった。

調達コストも低下

  シティ証の藤川氏は企業の3月期決算を振り返り、「決算や中期計画を見ると、多くの会社で負債を減らすと言っていたが、将来のM&Aなどに備えて余力を取っておくという戦略は間違っていない」と指摘。超低金利で調達コストが低い今、資本性のある資金を確保しながら将来の資金ニーズに備えるメリットは大きいという。

  マイナス金利による一段の金利低下でハイブリッド発行体に伴う企業のコスト負担も減っている。三菱地所が1月に発行した60年満期の劣後債2500億円の利回りは約1%。昨年の三菱商事の劣後債は3本立てで、うち1本の当初利率は1.68%だった。藤川氏は「金利水準が低く発行体と話しやすくなっている」と述べた。

  
  オリックスは25日、借入期間60年の劣後ローンで28社から計940億円を調達すると発表。広報担当の堀井淳氏は「格付機関から資本性が認められる資金を調達することで、ROE(株主資本利益率)の低下を招くことなく財務基盤をさらに強化するとともに、M&Aなどの成長投資に充てる」と説明した。

  シティ証の藤川氏は2016年度の国内社債市場では、普通社債の発行は減るとみており、ハイブリッド証券を提案する好機としている。ブルームバーグのデータによると、15年度の普通社債の発行額は前年度比約20%減と9年ぶりの低水準だった。藤川氏は今年度も20%近く減少すると見通す。

  ドル債市場では、シティは今年、すでに200億ドル以上の日本企業の社債を引き受けている。みずほフィナンシャルグループや三井住友フィナンシャルグループなど、国際展開する大手金融機関への新たな資本規制(TLAC)対応の調達も含まれる。藤川氏は「米国で今年、日本の3メガバンクが各社1兆円発行してもおかしくない。2019年までに基準を満たすことになっているが、直前に何兆円も発行するより前倒しで起債する方が合理的だろう」と述べた。

(最終段落を追加して、更新しました.)
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