【債券週間展望】長期化需要で金利低下へ、不透明要因の多さは重し

  • 需給面で相場はしっかりする-マスミューチュアル生命
  • 10年債入札:政策金利より低い水準には警戒感-三井住友アセット

来週の債券市場で長期金利が低下すると予想されている。月末に保有債券を長期化する需要が見込まれ、超長期ゾーンを中心に金利低下圧力が掛かりやすい。一方、週後半は10年債入札が重しとなる上、消費増税延期をめぐる観測や補正予算の規模など不透明要因が投資家の売買を手控えさせるとの見方が出ている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りは、今週は米利上げ観測の高まりから24日にマイナス0.095%まで上昇したが、日本銀行の買い入れオペが3回実施される中、流動性供給入札、40年債入札を順調に消化しながら好需給が意識され、週末はマイナス0.12%と約3週間ぶりの低水準を付けた。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、「年限長期化の需要や6月の国債償還といった需給面で相場はしっかりすることから、国債利回りは全般的に横ばい圏から低下気味の推移となりそうだ」と予想する。また、来週の市場では「増税延期の思惑の高まりと補正予算の規模が焦点になるだろう」と指摘した。

  安倍晋三首相は27日、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)終了後の記者会見で、2017年4月に予定している消費増税の是非について検討を開始し、夏の参院選前に結論を出す方針を表明した。マスミューチュアル生命の嶋村氏は、「増税が延期された場合の補正予算の規模はそれほど大きくならない可能性もあり、国債市場への影響はニュートラル。格下げがあっても影響は限定的だろう」と言う。

  一方、岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「消費増税の先送り問題、海外では米国の利上げ時期、英国のEU(欧州連合)離脱問題と不透明要因が多く、投資家が積極的な売買を手控える要因になる」との見方を示した。

  今週は早期の米利上げ観測を背景とした米国債相場の下落が円債市場に波及する場面も見られ、米連邦準備制度理事会(FRB)が6月1日に公表する地区連銀経済報告(ベージュブック)や3日に発表される5月の米雇用統計などの米経済指標にも注目が集まっている。

  三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッドは、「週後半は米雇用統計や入札に対する警戒感から相場は重たい展開になりそうだ。米地区連銀総裁からタカ派的な発言が出ており、ベージュブックも弱い内容のものは出ないだろう」と予想する。

  財務省は31日に2年利付国債の価格競争入札を実施する。表面利率は年0.1%に据え置かれる見込み。発行予定額は前回と同額の2兆3000億円程度となる。6月2日には10年利付国債の入札が予定されている。343回債と新回号での発行となり、表面利率は年0.1%に据え置かれる見込み。三井住友アセットマネジメントの深代氏は、「政策金利のマイナス0.1%より低い水準の入札には警戒感がある。強い結果にはならないとのイメージ」と言う。

市場関係者の見方
*T
◎マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長
*G7声明で景気の下振れリスクを強調したことは、かえって日銀の緩和期待を維持することになり、国債を買いやすくさせる材料に
*10年債入札は新発債で足が伸びることから、無難に消化される公算が大きい
*長期金利の予想レンジはマイナス0.14%~マイナス0.09%

◎三井住友アセットマネジメントの深代潤債券運用グループヘッド
*週前半は月末のエクステンション絡みで買いが先行する見通し
*経済指標はまだらもようだが4月以降は悪くないので、日銀の利下げ期待をはやして10年金利がどんどん下がるとは思えない
*長期金利の予想レンジはマイナス0.15%~マイナス0.10%

◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
*6月の日銀買い入れの運営方針は注目だが、良好な需給環境が続くことには変わりない
*現状の利回り水準を積極的に買い進む動きは限られそうだが、2年債と10年債の入札は無難に消化される
*長期金利の予想レンジはマイナス0.13%からマイナス0.08%
*T