ドル・円は109円台後半、株高支えも上値限定-米利上げ姿勢見極めへ

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  • 午前に一時110円ちょうどを付けた後、午後にかけて伸び悩む
  • ドル・円は112円を目指して上昇する可能性ある-みずほ証・由井氏

27日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=109円台後半を中心に推移した。日本株高を背景に一時110円台に乗せたが、前日発表の米経済指標が強弱まちまちで米利上げをさらに織り込みにくい状況の中、ドルの上値は重かった。

  午後3時55分現在のドル・円相場は109円71銭前後。朝方は109円台半ばまで弱含むなど上値の重い展開だった。その後、日経平均株価が上げ幅を拡大する中、金融機関の仲値設定後の午前10時すぎに110円ちょうどを付けたが、午後にかけて伸び悩んだ。

  みずほ証券投資情報部の由井謙二FXストラテジストは、来週はまず6月1日と予想される消費増税延期の決断と財政政策が注目で、「すでに消費増税の延期は想定内となっているが、財政出動の規模にサプライズがあれば、ドル・円は上がりそうだ」と指摘。また、来週末発表の米雇用統計は悪い結果にはならないとみられ、「米利上げに向けた期待から、ドル・円は112円を目指して上昇する可能性がある」と語った。

  主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が27日まとめた首脳宣言によると、世界経済に下方リスクが高まっているとの認識の下、新たな危機を回避するための政策努力を強化することで合意、特に財政戦略や構造改革政策への取り組み強化の重要性で合意した。為替政策に関しては、「通貨の競争的な切り下げを回避」することや、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与えうる」との表現を盛り込み、仙台市で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議の成果文書の文言を踏襲した。

  安倍晋三首相は、サミット閉幕後の記者会見で、「世界経済が危機に陥るリスクに立ち向かうため、あらゆる政策を総動員してアベノミクスのエンジンを吹かしていく決意だ」とし、2017年4月に予定している「消費税率引き上げの是非も含めて検討し、夏の参院選の前に明らかにしたいと考えている」と述べた。

  27日の東京株式相場は上昇。前日にニューヨーク原油先物が一時50ドル台に乗せたことや消費税増税の延期など国内政策への期待を背景に、日経平均株価は3日続伸となった。

  あおぞら銀行市場商品部部長の諸我晃氏は、「消費増税先送りと財政出動という期待は株価にポジティブな影響を与えていると思うので、ドル・円にも影響が出ている」と指摘。その上で、最大の焦点は米国の指標と利上げに対するスタンスだと語った。

  この日発表された日本の4月の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は、2カ月連続のマイナスとなった。原油安が全体を押し下げた。マイナス幅は前年比0.3%低下と前月と同じで、ブルームバーグがまとめた予想中央値(0.4%低下)は上回った。また、午後に発表されたエネルギーと生鮮食品を除いた日本銀行版コアCPIは同0.9%上昇と昨年7月以来の1%割れとなった。

米利上げ 

  米国ではこの日、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長がハーバード大学で講演する。経済指標では1-3月期の国内総生産(GDP)改定値が発表される予定で、ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査では実質ベースで前期比年率0.9%増と速報の同0.5%増から上方修正が見込まれている。 

  26日発表された4月の米耐久財受注統計では、航空機を除く非国防資本財(コア資本財)の受注額が予想外の3カ月連続マイナスとなった。一方、4月の米中古住宅販売成約指数は2010年以降で最大の伸びとなり、新規失業保険申請件数は前週から減少した。

  米金利先物市場動向によると、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げの確率は26日時点で28%と25日の34%から低下。7月までの確率は51%(25日は53.8%)となっている。  

  三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)は、米利上げが6月か7月かまだ分からない状態では、「良い材料が続いて出てこないと、ドル・円が110円を超えていって、しっかりと抜けていくということにはまだなりにくい」と指摘。イエレン議長の講演については、「どこまで踏み込んだものになるのか分からない部分もある」とし、来月6日の同議長の講演の方が5月の米雇用統計なども見た後で、「6月に利上げをするかしないかの雰囲気が何となく出てくるのではないかという期待感がある」と語った。 

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