G7宣言:世界経済の「新たな危機」回避に対応-サミット閉幕

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  • 日本は消費増税の是非を検討、参院選前に表明へ-安倍首相会見
  • 中国の過剰供給問題にも懸念表明、「世界的な影響を有する課題」

Shinzo Abe at Ise Shrine on May 26.

Photographer: Anadolu Agency/Getty Images

主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が27日午後、閉幕した。主要7カ国(G7)は、世界経済の見通しの下方リスクが高まってきているとの認識の下、「新たな危機」に陥ることを回避するため金融、財政、構造政策に取り組むことを首脳宣言にまとめた。安倍晋三首相は議長会見で、今回の合意に基づき、来年4月に予定されている消費税率の引き上げの是非を検討すると表明した。

  日本政府が首脳宣言を公表した。世界経済の下方リスクの要因として、貿易や需要、構造問題などを挙げ、英国の欧州連合(EU)からの離脱も深刻なリスクになると指摘。適時に全ての政策対応を行い、現在の経済状況に対する努力を強化するとしている。

  具体的な政策対応としては、「強固で持続可能、かつ均衡ある成長の達成」のため、「3本の矢のアプローチ」である「相互補完的な財政、金融および構造政策の重要な役割を再確認する」と指摘。その上で、国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率を持続可能な道筋に乗せながら、財政戦略を機動的に実施し、構造政策を果断に進めることの重要性を確認した。

  安倍首相は首脳宣言公表後の会見で、「日本も議長国として今回のG7合意に従い、率先して世界経済の成長に貢献する」と述べ、「日本として何をなすべきか。消費税率の引き上げの是非も含めて検討し、夏の参議院選挙の前に明らかにしたい」と宣言した。財政政策にも取り組む考えを示したが、衆院を解散して信を問うかとの質問には明言を避けた。

  世界経済の現状について、安倍首相はたびたびリーマン・ショック時と現在の世界経済状況の比較を紹介したうえで、「われわれはリーマン・ショックという危機を防ぐことができなかった」と発言。「リスクについてしっかりと認識しなければ正しい対応を取ることはできない」と述べ、世界経済が大きなリスクに直面しているとの認識でG7は一致をしたと説明した。

クライシス

  安倍首相はこれまで国会答弁などで、17年4月からの消費税率引き上げは、リーマン・ショックや大震災などの重大な事態が起きない限り予定通り実施すると繰り返し発言。重大な事態かどうかは専門家の知見を踏まえた上で政治判断すると述べてきた。

  26日の世界経済に関する討議で安倍首相は、現在とリーマン・ショック時の経済状況を比較する資料を用いて、世界経済が厳しい状況にあることを各国首脳に説明。世耕弘成官房副長官は討議終了後、安倍首相の主張に対し、「クライシスとまで言うのはいかがなものかという意見も出た」ことを明らかにした。

  結局、「クライシス(危機)」という言葉は、「新たな危機」との表現に落ち着いた。「新たな危機に陥ることを回避するため、経済の強じん性を強化してきている」という文脈で言及され、そのための「努力を強化する」という文言となった。

  安倍首相は会見で、「大きな危機に陥ることを回避するため、協力して対応することで、国際的に合意をした。この事実は大変重いものだ」と強調した。

過剰生産

  首脳宣言には、鉄鋼を中心とした工業部門での過剰生産について、「世界的な影響を有する構造的な課題」と記述した。

  安倍首相は会見で、鉄鋼の過剰供給問題を抱える中国を名指しで批判し、「国際的な価格下落を通じて、企業収益の悪化や雇用不安など、世界経済に大きな影響を与えている」と踏み込んだ。さらに、中国政府が表明している削減の取り組みは不十分だと指摘すると同時に、市場をゆがめている政府支援への懸念を示した。G7もこうした懸念を共有しているとも述べた。中国は今回のサミットに参加していない。

  金融政策については、当局が「非伝統的な金融政策も含め、経済回復およびデフレ脱却を支援することにコミットしてきた」と評価したうえで、「金融政策のみでは、強固で持続可能な、かつ均衡ある成長にはつながらない」とも記した。

  首脳宣言で為替政策に関しては、「通貨の競争的な切り下げを回避」することや、「為替レートの過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与えうる」との表現を盛り込み、仙台市で行われたG7財務相・中央銀行総裁会議の成果文書の文言を踏襲した。

(見出しと第1段落を一部変更し、第4、5、11段落を追加します.)
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