円がほぼ全面高、クロス・円売り主導で円買い圧力-市場の見方錯綜も

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  • ドル・円、朝方に付けた110円23銭から一時109円42銭まで円高進行
  • 米利上げがクロス・円不安定化につながるリスク警戒-三菱モルガン

26日の東京外国為替市場では円がほぼ全面高の展開。対ドルでは一時1ドル=109円台半ばまで水準を切り上げた。クロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)売りを主導に、円買い圧力が強かった。

  円は主要16通貨中15通貨に対して前日終値から上昇。ドル・円相場は午後3時現在、109円63銭付近で推移している。午前の取引では、110円23銭から109円42銭まで円高に振れる場面が見られた。前日の海外市場は一時110円45銭と3営業日ぶりの水準までドル高・円安が進んでいた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「米利上げを素直にドル高・円安要因として評価するよりも、米国が勇み足で利上げをすれば中国株や原油価格が不安定化してクロス・円が下がるという不安がぬぐえていない」面があると説明。「利上げ観測でドルは110円台に乗せるものの、一段高にはブレーキがかかりやすい」と話した。

  前日の海外市場では、英国の欧州連合(EU)残留の可能性を示す世論調査を背景に、ポンドが上昇。対円で一時1ポンド=162円53銭と、4月28日以来の高値を付けた。その後は伸び悩みとなり、この日の東京市場では、朝方に付けた162円06銭から161円台前半に水準を切り下げて推移している。

  植野氏は、「クロス・円でリスク選好が強まる材料が目立っていたが、ポンド・円は158円台前半から162円台まで一気に上がっていて、さすがに売りが出やすい」と指摘。本日開幕の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)にらみで方向感が出せない中、「ドル・円はクロス・円に巻き込まれた」と言う。

急速なドル安・円高進行に見方錯綜

  ドル・円相場は午前9時すぎに下げ足を速め、午前10時20分までには日中安値の109円42銭までドル安・円高に振れた。ソシエテ・ジェネラル銀行東京支店の鈴木恭輔為替資金営業部長は、ドル・円の下落について、「マーケットが薄い中で、上値の重さから超短期勢の売りが出たのではないか」と指摘。「月末を控え実需の売りなどへの警戒もこうした動きにつながったかもしれない」と述べた。

  一方、財務省の浅川雅嗣財務官の発言を報じた英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の記事を円高の背景として指摘する声も聞かれた。コモンウェルス銀行のジョゼフ・カパーソ通貨ストラテジスト(シドニー在勤)は、「財務官は為替介入の可能性が低いことを示唆した。ただ、コメントは10日前のものだ。非常に古いニュースであることを考えると、ドル・円の反応は過剰」と述べていた。

  この日の米国時間には、新規失業保険申請件数や4月の耐久財受注などの経済指標が発表される。また、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル理事やセントルイス連銀のブラード総裁が講演する。

  三菱モルガンの植野氏は、「米国の株価や金利が動けば、ドル・円もそれなりに動く可能性がある」とし、内容が良ければ110円台半ばまでの戻りもあり得るとみている。

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