こだわりのチョコレート、ベトナム産カカオ豆使い割高でも注目の的

  • 日本のチョコ市場でビーン・トゥ・バー製品の売り上げ伸びる
  • ビーン・トゥ・バーは見過ごせないトレンド:明治

主婦の大塚直子さん(55)は1枚(24グラム)当たり420円の板チョコレートを迷わず購入した。そのチョコレートは単なるおやつではなく、栄養分が豊富で健康に良いとされる「スーパーフード」の一つ、カカオ豆について詳しく知るチャンスになると思ったからだ。

  大塚さんが東京都渋谷区で購入した板チョコ6枚はベトナム産カカオ豆を原料とし、カカオ豆の産地ごとに名前が付けられている。「それぞれどんな味がするのか食べ比べてみたい。ここに来るまでは産地によって味が違うなんて知らなかった」と大塚さんは語る。

  大塚さんが購入したチョコレートの値段は1キログラム当たり1万7500円と、スーパーで販売されているチョコレートの約8倍に上る。スーパーで販売されるチョコレートはまとめて調達されるさまざまな産地のカカオ豆から製造されるケースが多い。

Customers shop for chocolate in a Cacao Store in Tokyo.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  大塚さんのような消費者が高級チョコレートの需要を押し上げ、需要の伸びは、米ハーシーや、英キャドバリーを保有する米モンデリーズ・インターナショナルなどの企業が優位に立つ大量消費市場を上回っている。大塚さんが購入したチョコレートを製造するマルゥ・チョコレートの売上高は3年前に同社が日本市場に参入して以降、毎年倍増している。日本はチョコレートのアジア最大の市場。

  マレックス・スペクトロン・グループ(ロンドン)の農業担当共同責任者、ジョナサン・パークマン氏は、こうした需要の伸びはカカオ豆の原産地が明らかな製品のニーズが消費者の間で高まっていることを反映していると指摘する。日本で1918年からチョコレートの販売を開始し、国内市場シェア23.8%明治は、2014年9月にブラジル産とベネズエラ産カカオ豆を使った「Bean to Bar(ビーン・トゥ・バー)」と呼ばれる種類の製品を発売した。「明治ミルクチョコレート」の参考小売価格は1枚(50グラム)当たり110円だ。明治は、明治ホールディングスの子会社で食品事業を展開している。

ビーン・トゥ・バー

  ビーン・トゥ・バー製品はカカオ豆固有の風味を最大限引き出すため、豆の種類によって発酵の方法、ローストの温度や時間を微細に調整するなどチョコレートの完成のさまざまな工程でこだわり抜いて製造する。  

  明治の広報担当者、中村祐子氏は「ビーン・トゥ・バー・チョコレートはこだわりを持った専門店から始まり、今では私たちも見過ごせないトレンドになっている」と説明。「新商品の発売により新規需要の開拓とチョコレート市場のさらなる拡大を図っていきたいと考えた」と話す。

  パークマン氏は需要が過去数年間に急増した可能性が高いと指摘。「製造業者と消費者はカカオ豆の産地の透明性だけでなく、どこで栽培されどこで製造されたかについて追跡できることを望んでいる」と語る。

  

Jars of cacao beans from different countries.

Photographer: Akio Kon/Bloomberg

  調査会社ユーロモニター・インターナショナルによれば、世界のチョコレート小売市場は昨年、6.7%拡大し1010億ドル(約11兆400億円)規模に達した。世界のチョコレート価格の平均は1キロ当たり14ドルで、日本では22ドルとなっている。

  国内価格は10年前は世界の平均の2倍だった。他国の市場で高級チョコレートの売り上げが拡大し始める中、海外との価格差は縮小している。こうしたトレンドを背景に、高級でフレーバー豊かな、あまり一般的ではないクリオロ種とトリニタリオ種カカオ豆の需要が減少から増加へと転じつつある。

高級カカオ豆の需要急増

  ロンドンを拠点とする国際ココア機関(ICO)のウェブサイトによると、ここ数十年間、大手チョコレートメーカーは、ナッツやフルーツ、クリームと相性の良い標準的なフォラステロ種カカオ豆を利用していた。「高級でフレーバー豊かなカカオ豆の需要が急速に伸び始めたのはごく最近のことだ」という。

  ニューヨーク市場のカカオ豆先物相場は昨年10%上昇。その前の3年間に38%値上がりした。

原題:Artisan Chocolates From Vietnam Fetch $72 a Pound in Japan(抜粋)

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