景気てこ入れで何でもやる日銀、新種のETF買い入れに乗り出す

  • 設備・人材投資企業対象に農薬を散布するような手法
  • 出口戦略の欠如めぐり一部に難色も-米にも共通の懸念

必要は発明の母だ。それは量的緩和(QE)にも当てはまる。

  従来型の資産購入措置を使い果たしたとも言われる日本銀行は、設備・人材投資企業を支援するオーダーメードの指数連動型上場投資信託(ETF)の買い入れに乗り出した。MSCI日本株人材設備投資指数、JPX/S&P設備・人材投資指数、野村企業価値分配指数の3つが同ETFの基となる。

  新たなETF設定の決定に対しては、市場関係者や議員の一部が難色を示した。資産購入に対する日銀の異例の創造的アプローチが厳しい事態を招くと懸念したものだ。民進党の大久保勉元財務副大臣はブルームバーグとのインタビューで、出口に向かう段階でETFを売ろうと思っても売り場がない可能性を指摘した。

  そうかもしれない。だが、景気てこ入れのために何か、いや何でも試すと必死の日銀当局者は量的緩和の概念に興味深い微調整を加えた。企業による現金ため込みや賃金の伸び悩み、所得格差といった最悪の副作用の一部を少なくとも取り除こうとして、日銀当局者は米金融当局が編み出したのとは対照的なアプローチを試している。

  米金融当局は2008-14年に実施した3弾にわたる量的緩和で、計3兆5000億ドル(現行レートで約385兆円)相当の債券を購入した。それにより、債券利回りは押し下げられて、投資家はS&P500種株価指数構成銘柄など、よりリスクの高い資産に駆り立てられた。そうした企業の大半は人為的な低金利を事業拡大や賃上げに活用するのではなく、自社株買いや配当を通じて株主への還元に動いた。これは所得格差の拡大という残念な結果を生んだ。

  日銀はこうした米国の事例を教訓とし、日本企業に対して金融工学に従事するのではなく、設備や人材に投資するよう強力なメッセージを送っていると受け止められる。ただ、新たなETFの1つはウエート面で日経平均株価指数と重複部分が72%となるなど、これは正確な科学ではない。それでも日銀は「ヘリコプターマネー」の代わりに、特定の分野に農薬を散布するような手法を試みている。

  このような戦略が難色を招いたもう1つの要因は、「出口戦略」を持たぬ日銀による日本株ETF保有率が全体の59%に達した事実だ。しかし、これは日銀だけに限られた状況ではない。米金融当局も出口戦略を確保せぬまま、間接的ながらも米国株ETFの多くを保有していると言っても過言ではないためだ。

  米金融当局による間接的な株式(そして事実上ETF)保有は、S&P500種指数と連邦準備制度のバランスシートを示した次のチャートで見ることができる。米金融当局が保有債券の売却を決めたら、債券利回りを押し上げ、指数連動型ETFのパフォーマンスは落ち込んで、資金流出に見舞われるだろう。

  このように、出口戦略をめぐる懸念は必ずしも日本だけに限定されてはいない。

原題:Japan May Be Onto Something with Its New ETF-Style QE(原題)