債券上昇、流動性供給入札で好需給を確認-米利上げや財政出動は懸念

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  • 先物4銭高の151円79銭で終了、長期金利はマイナス0.105%
  • 大量償還が視野、インデックス投資家の動きも予想され底堅いとの声

債券相場は上昇。米国の早期利上げや財政出動をめぐる観測などを背景に売りが先行した後、この日の流動性供給入札で需給の良さがあらためて示されたことで、買いが優勢となった。

  24日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比2銭安の151円73銭で取引を開始し、いったん9銭安の151円66銭まで下落した。午後に入ると水準を切り上げ、一時は151円83銭まで上昇し、結局は4銭高の151円79銭で引けた。

  岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「米国で年内2回の利上げがあっても、長期金利は大して上昇しないとの見方が定着しているのではないか」と述べた。「6月の大量償還が視野に入る上、インデックス投資家の動きも予想され、相場は底堅い」と話した。

  現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値より0.5ベーシスポイント(bp)高いマイナス0.10%で開始し、その後マイナス0.095%に上昇。午後はマイナス0.105%に戻している。

  新発5年物の127回債利回りは0.5bp高いマイナス0.215%で開始後、マイナス0.225%で推移している。新発20年物の156回債利回りは1bp高い0.265%で開始し、0.27%まで上昇した後、0.25%を付け、その後は0.26%。新発30年物の50回債利回りは1bp高い0.34%で開始し、その後は0.325%まで下げる場面があった。

流動性供給入札

  財務省が午後発表した流動性供給入札(発行額5000億円)の結果によると、募入最大利回り較差がマイナス0.003%、募入平均利回り較差がマイナス0.005%となった。今回は残存期間5年超15.5年以下の国債が対象。投資家需要の強弱を示す応札倍率は4.03倍と、同年限を対象とした入札としては昨年9月以来の高水準となった。

  マスミューチュアル生命保険運用戦略部の嶋村哲金利統括グループ長は、流動性供給入札は金利が低過ぎるとしながらも、「供給があれば日銀が買うのに応じ、ボックス圏での推移」と指摘。「米利上げ観測が気になるが、まだ材料としては早い。補正予算などの財政出動や消費増税が先送りになるのかに関心が集まっている」との見方も示した。

  23日の米国債相場はもみ合い。米10年債利回りは前週末比ほぼ横ばい圏の1.84%程度で引けた。米国株相場の軟調推移が相場の下支えとなった半面、早期の米利上げ観測が重しとなった。

  岡三証の鈴木氏は、「昨年も投資家が国債を買えないで終わった要因の一つに米利上げがあった」と説明。「利上げで米金利が上昇するなら円金利も上昇を待って買おうと思っている人もいる。米利上げが迫っているのだから今は買えない言う人の方が多いのではないか」と話した。

  自民党の二階俊博総務会長は23日、首相官邸で安倍晋三首相と会談し、2017年4月に予定する消費税率の10%への引き上げを2年間延期することなどを求める提言を行った。デフレ脱却を進めるため、総額10兆~20兆円規模の財政出動が必要とも進言した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、増税再延期は現実味が増してきており、市場もほぼ織り込んでいると指摘。財政については、「二階氏は具体的な数字を挙げたが、これは2020年までの5年間の合計。年あたりの額は市場がイメージしているものに比べむしろ控えめ」と分析。「政府・与党がこの段階で秋の補正予算規模を固めてくることは考えにくい。財源の税収や剰余金の規模が見えておらず、そもそも参院選前に財源等で野党から攻撃を受けることは避けたいはずだ」と指摘した。