レガシー実現の困難さ浮き彫りに-オバマ大統領のベトナム、広島訪問

  • 米国の軍事力の威力と限界の双方を目の当たりに
  • 戦争がもたらす悲劇指摘しつつも、軍事力の必要性学ぶ

米軍が激戦を繰り広げた末に敗退したベトナム、人類史上で初めて原爆が投下された広島。オバマ米大統領は今週、両地を歴訪する。中東地域をはじめとする紛争の終結を目標に掲げながら、解決の糸口を見いだせない大統領にとって、米国が関与したアジアでの2度の残忍な戦争の地を訪れる今回の旅は、就任から7年目の自身のレガシー(政治的遺産)実現の困難さを浮き彫りにする機会となりそうだ。

  オバマ大統領は両地の訪問で、米国の軍事力の威力と限界の双方を目の当たりにする。ホワイトハウスの報道官によれば、大統領は1945年の広島、長崎での原爆投下の米決定について謝罪することはない。ジョンソン大統領(当時)に再選出馬の断念を余儀なくさせ、米軍5万8000人が命を落としたベトナム戦争への米国の関与という過去を掘り起こすこともない。

  ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ両政権で国家安全保障会議(NSC)のスタッフを務めたピーター・フィーバー氏は、両地の訪問が「オバマ政権の戦略的難題の核心的な問題」を呼び起こすと指摘。「それは、軍事力の行使、不行使のいずれがより大きな損害を及ぼすかということだ」と説明した。

  オバマ大統領はこの問題に苦悩し続けてきた。大統領はイラクとアフガニスタンから米軍数万人を撤退させたものの、その結果生じた空白地帯で過激派組織「イスラム国」や反政府勢力タリバンが伸長したことを受け、一部を再配備した。

  オバマ大統領は野党共和党から、これら地域での軍事力行使に消極的過ぎると非難される一方、与党民主党からは行使にあまりにも前向きだと批判を浴びている。

中国、北朝鮮の現実

  オバマ大統領は2009年、ノーベル平和賞受賞の演説で「どのように正当化されようとも、戦争は人類に悲劇をもたらす」とし、「戦争それ自体は決して輝かしいものでなく、われわれはそのように持ち上げてはならない」と訴えた。

  しかし、オバマ氏は大統領として軍事力が必要な道具であることを不本意ながらも学んだ。

  大統領はベトナムに対する武器輸出の解禁を検討している。南シナ海でベトナムと領有権争いを繰り広げる中国を念頭に置いたものだ。東南アジアや東アジアは、中国と近隣諸国との間に加え、北朝鮮が核開発を進める朝鮮半島で軍事的緊張が高まっている。

  一方、オバマ氏は27日、現職の米大統領として初めて広島を訪問する。ローズ大統領副補佐官(国家安全保障問題担当)によれば、大統領は広島平和記念公園で所感を述べ、「戦争に伴う多大の人的被害」に言及する。

  米シンクタンク、スティムソン・センターの東アジアプログラム担当シニアアソシエーツ、辰巳由紀氏はオバマ氏の広島訪問に関し、少なくとも高齢化が進む被爆者やその家族が被った破壊の経験を認めることになるとコメント。だが同時に、勢力拡大を図る中国や北朝鮮の核兵器の脅威に対し、日本の安全保障は米国との同盟関係に依存しており、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)でのオバマ大統領の存在は米国の持続的関与を示す上で極めて重要だと付け加えた。

原題:Bloody U.S. History in Asia Shadows Wartime President Obama (1)(抜粋)