M&Aの株価押し上げ効果が急減-強気相場を支えてきた土台に亀裂

  • 買収件数が上向く兆しはほとんど見られず
  • M&Aや自社株買い、増配による下支え効果が弱まりつつある

米株の強気相場を支えてきた土台に亀裂が入り、それが急速に広がりつつある。

  2015年は企業の合併・買収(M&A)が最も活発な年の一つだったが、そうした活動は鈍っており、投資家はかつてほどM&Aによる株価押し上げを期待できなくなっている。今年は7カ月を残し、買収件数が上向く兆しはあまり見られない。

  ブルームバーグのデータによると、M&A発表後の最初の取引日に記録された被買収企業の株価上昇分だけで、15年に株式時価総額は1920億ドル(約21兆900億円)押し上げられた。今年のこうした効果は昨年より約1200億ドル少ない700億ドルにとどまるペースで、09年以来の低水準。

  09年3月に株式の上昇相場が始まって以降、今ほど見通しが暗かったことはあまりなかった。エコノミストは世界の成長予想を下方修正しており、米連邦準備制度は来月にも利上げを実施する可能性を示唆している。7年に及ぶ強気相場で株式需要の最大の供給源だった自社株買いの発表はこの4カ月で38%減少。増配の件数は09年以来の低水準となっており、利益は大きく落ち込んでいる。

  PNCアセット・マネジメント・グループの最高投資責任者、トーマス・メルチャー氏は電話取材で、「M&Aと自社株買い、株式への資金流入は市場にとってセーフティーネットのような役割を果たしてきたが、何かがうまくいかなくなった時、これらが不在では影響は一層大きくなる公算が大きい」と指摘。「市場がこうした水準を維持できないわけではないが、綱渡りの状態ではある」と語った。

  S&P500種株価指数は過去1年間で3.5%下げ、最高値更新のないまま丸一年がすぎた。過去の強気相場でこうした例は2回しかない。ブルームバーグのデータによれば、今年1-3月(第1四半期)のM&A総額は3000億ドルをやや上回る程度で、14年第1四半期以来の低水準だった。

原題:The $120 Billion Merger Bounce Missing From U.S. Equity Market(抜粋)

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