ドル・円が反落、日本株下落で109円台後半-米利上げ観測が下支え

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  • 一時109円64銭と3営業日ぶりの水準までドル安・円高が進む場面も
  • 110円半ばの重さ確認でドル上昇に一服感出やすい-BofA岩崎氏

23日の東京外国為替市場では、ドル・円相場が1ドル=109円台後半へ反落した。日本株の下落を背景にドル売り・円買いが先行。半面、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長など米金融当局者の講演を週内に控えて、米早期利上げ観測が下値を支えた。

  ドル・円相場は、朝方の110円台前半から一時109円64銭と3営業日ぶりの水準までドル売り・円買いが進行。午後3時15分現在は109円74銭前後となっている。先週は米国の早期利上げ観測を背景に、ドルが1月以来最長となる3週連続高となり、対円では週末に一時110円59銭と4月28日以来の高値を付けていた。

  バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイ外国為替本部の岩崎拓也営業本部長は、「ドル・円は先週末を110円後半や111円台で引けていれば、テクニカル分析的にも上値を追いやすくなったが、結果的に110円台半ばの重さを確認する形となり、ドル上昇に一服感が出やすくなっている」と説明。その上で、今週も米金融当局者の発言が予定されているが、「これまでと同様にタカ派的なコメントが予想される」と語った。

  ユーロ・円相場は1ユーロ=123円台後半から一時123円15銭まで円買いが進み、同時刻現在は123円28銭前後。ユーロ・ドル相場は先週、3月29日以来の水準となる1ユーロ=1.11ドル台後半までユーロ安・ドル高が進んだが、週明けの東京市場では一時1.1243ドルと3営業日ぶりの水準までドル売りが進んだ。

  主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は21日、仙台市内で2日間の日程を終え閉幕した。為替政策に関する従来のG7やG20の合意を確認、競争的切り下げの回避の重要性を指摘した。また、世界経済の不確実性の増大に警戒感を示し、各国が状況に応じて金融・財政・構造改革を組み合わせて政策展開することも確認した。

  麻生太郎財務相はG7終了後の議長会見で、ルー米財務長官との会談について、「一方的に偏った急激な、投機的な動きが見られたが、為替市場における急激な変動は望ましくない、為替の安定が重要であるという点は申し上げた」と言明。これに対し、ルー長官はG7終了後の会見で、為替相場が無秩序な動きと判断することの「ハードルが高い」と指摘した。麻生財務相はまた、米財務長官との会談で2017年4月の消費増税は予定通り実施すると伝えたことを明らかにした。

  JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉為替調査部長は、「記者会見や当局者発言でもこれまでのG7、G20合意が再確認されただけ」で、「日米で為替に対する認識ギャップがあることは変わらないことも想定されていた」と指摘。介入に対するハードルは高いとした上で、「今のこの水準ではない」と語った。

  一方、バンク・オブ・アメリカ・エヌ・エイの岩崎氏は、「G7で特に財政に関する合意などがなかったことや、政権の消費増税へのスタンスが変わっていないこともリスクセンチメントにとって重しになっているのかもしれない」とし、月末を控えて「本邦勢からの売りが出やすい時間帯になっていることもドル・円の重し」と話した。

  23日の東京株式相場は反落。朝方発表された貿易統計での輸出の減少などが嫌気され、日経平均株価は午前に一時300円を超える下げとなった。その後は下げ渋る展開となり、81円75銭安の1万6654円60銭で引けた。

  財務省が発表した日本の4月の貿易収支は8235億円の黒字となり、市場予想(5400億円の黒字)を上回った。輸出は前年同月比10.1%減(市場予想は9.9%減)、輸入は同23.3%減(予想は19.2%減)だった。

米利上げ

  サンフランシスコ連銀のウィリアムズ総裁は22日、FOXニュースとのインタビューで、米経済の堅調さを根拠に年内利上げに踏み切ることになるとの見解を示した。また、大統領選の年には利上げを控えるべきだという政治的圧力に金融当局は屈しないと述べた。ボストン連銀のローゼングレン総裁は英紙フィナンシャル・タイムズ(オンライン版)に対し、米金融政策の引き締めを支持する準備が整いつつあると語った。

  今週は27日にイエレンFRB議長の講演が予定されている。この日も海外時間にセントルイス、サンフランシスコ、フィラデルフィアの地区連銀総裁が講演する。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、「今週はイエレン議長を含むFRB高官の発言でどれだけ6月ないし7月の利上げの可能性を市場に織り込ませるかが焦点になる」と指摘。SMBC信託銀行プレスティアの尾河真樹シニアFXマーケットアナリストは、ドル・円はやや調整という感じだが、米国の利上げが徐々に織り込まれつつある中で、「ここからさらに円を買っていく材料にも欠ける」と話した。