【今週の債券】長期金利低下か、フラット化のタイミング―財政政策注目

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.13%~マイナス0.05%
  • 日銀買い入れオペは週内3回入ることが想定される-DIAM

今週の債券市場で長期金利が低下すると予想されている。日本銀行の国債買い入れオペや来月の国債償還をめぐる投資家の再投資需要が、金利低下圧力になるとの見方が背景にある。一方、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で消費増税延期をめぐる問題や財政出動などの行方が注目されている。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.13%~マイナス0.05%。前週は海外金利上昇を受けて、19日に一時マイナス0.075%と3週間ぶり高水準を付けた。週末20日は日銀国債買い入れオペの結果を好感して低下基調となり、マイナス0.105%まで戻した。

  SMBC日興証券の森田長太郎チーフ金利ストラテジストは、「国債市場は需給的に四半期毎のインデックス長期化のタイミングであり、かつ2月にも見られたように、6月の国債大量償還に向けて先回り的な買いが年金以外にも入り始める時期。その意味では需給的にフラットニング圧力がじわじわと強まりやすいだろう」と言う。

  26、27日に伊勢志摩サミットが開かれる。仙台市で開催された主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が21日閉幕した。為替政策に関する従来のG7やG20の合意を確認、競争的切り下げの回避の重要性を指摘した。世界経済の不確実性の増大に警戒感を示し、各国が状況に応じて金融・財政・構造改革を組み合わせて政策展開することも確認した。G7版3本の矢として議論を主導したい安倍晋三首相は特に財政出動が成長を下支えする役割の重要性を主張している。一方、安倍首相は来春の消費増税を予定通り実施するかどうか決断を迫られている。

  SMBC日興証の森田氏は、「サミットに向けて財政政策、通貨政策の部分に関する高官発言は注目」と指摘。「サミットで具体的な経済政策についてのインプリケーションを市場が受け取ることはあまりないが、今回はサミット後の財政政策について、政府のアナウンスメントを市場は注視。そこに結びつくような発言が何かあれば、材料視はされるだろう」とみる。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「スティープ化取引へ移行するには、日銀追加緩和・補完措置が打ち出されることが必須条件だろう。G7サミットで日本の金融・為替政策への理解が進み、米利上げに伴うリスクオフが背中を押し、月末の債券インデックス伸長や来月の国債大量償還に伴い、国債需給が再度逼迫するとみており、その間は基本的に政策催促相場とみる」と指摘した。

流動性供給入札と40年債入札

  財務省が今週実施する国債入札は、流動性供給と40年債の2本。24日の流動性供給入札は、残存期間5年超15.5年以下が対象で、発行額は5000億円程度となる。26日の40年債入札は、利回り競争入札によるダッチ方式となり、応札は0.5ベーシスポイント(bp)刻みで行う。償還日が前回債より延びるため、9回債となる。発行額は前回と同額の4000億円程度となる。

  40年債入札について、岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジストは、「先週の20年債入札で投資家の押し目買い姿勢が確認され、日銀買いオペも含めた良好な需給環境で、下値不安は小さい。押し目買い姿勢は続き、40年債入札も投資家の需要に支えられて無難に消化されそうだ」と話した。

  27日に米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が講演を行う。4月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で、6月利上げに前向きなメンバーが多いことが明らかになり、早期利上げ観測が再燃しており、FRB議長の発言内容が注目されている。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

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◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物6月物=151円30銭-152円00銭
10年物国債利回り=マイナス0.12%~マイナス0.06%
  「米2年物国債利回りに上昇圧力が掛かっている。英国の欧州連合(EU)離脱問題などハードルはあるものの、早期利上げへの警戒感が続いて、米債利回りの低下は抑えられるとみている。急激な円高への警戒が後退していることも円債相場の上値を抑制しそうだ。消費増税の先送り問題や景気対策への不透明感が続くことで、投資家は動きづらい面もある。米利上げ観測で相場の上値は限定されるものの、下値では押し目買いが続くとみている」

◎DIAMアセットマネジメントの山崎信人上席ファンドマネジャー
先物6月物=151円60銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.12%~マイナス0.08%
  「今の材料は米金融政策と日本の財政政策に絡んだものに大きく分けられる。前者は6月のFOMCに向けて経済指標をこなしていくフェーズ。一番の材料は米雇用統計だ。日本の財政政策は、消費増税の有無や財政出動にいかなる結果になるにせよ、夏の参院選までには出てくる。40年債入札はダッチ方式や先週末の25年超の買い入れオペが強かったことから、安心感が出てきている。日銀買い入れオペは今週3回程度入ることが想定される」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長
先物6月物=151円40銭-152円20銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.07%
  「40年債入札は新発債となり、表面利率は大幅引き下げになる見込み。市場は現在の金利水準に慣れてきたので、大きく崩れないイメージ。最近の入札を見ても、多少悪くても相場が崩れることはない。2月は荒れたがて金利水準に慣れてきた。イエレンFRB議長の講演は、米国債に影響する可能性がある。ただ、米金利が上昇しても、日銀の緩和方向というの期待は崩れないので円債への影響は限定的だろう」

◎アムンディ・ジャパンの浜崎優市場経済調査部長
先物6月物=151円25銭-152円00銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.125%~マイナス0.05%
  「マイナス金利下で小刻みながら値動きが荒くなる場面があり、今週も流れを引き継ぐとみている。米国で早期利上げ観測が高まっており、円債金利はどちらかと言えば上昇方向に振れやすい。イエレンFRB議長の講演は注目だが、はっきりとは言わず、言質を取られることもないとみている。国内財政政策をめぐる問題については、消費増税を予定通り実施しても、一方で大幅財政支出という見方が出ており、不透明感が強く、織り込みにくい」
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