G7:世界経済の不確実性を警戒、為替安定の重要性も再確認

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  • 無秩序な動きは悪影響、競争的通貨切り下げを回避-為替
  • 金融・財政・構造改革は状況に合わせバランス良く展開

日本で8年ぶりに開かれた主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が21日、仙台市内で2日間の日程を終え閉幕した。為替政策に関する従来のG7やG20の合意を確認、競争的切り下げの回避の重要性を指摘した。また世界経済の不確実性の増大に警戒感を示し、各国が状況に応じて金融・財政・構造改革を組み合わせて政策展開することも確認した。

  討議内容は日本財務省が議長国の責任で文書で公表するとともに、議長を務めた麻生太郎財務相が記者会見して説明した。

  麻生財務相は会見で、「最近の為替市場の動向を踏まえて為替レートの安定が重要との認識をあらためてG7として再確認した」と説明。為替レートを目標にはせず、過度の変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与えるとした2月の上海G20の合意を再確認し、競争的切り下げ回避の重要性も強調した。

G7記者会見

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg *** Local Caption *** Taro Aso; Haruhiko Kuroda

  競争的な通貨安競争の回避を従来主張してきたルー米財務長官はG7後の記者会見で、為替に関するコミットメントが相場の安定に寄与してきたと述べるとともに、G7が為替に関する公約を再確認したことは重要だと述べた。

秩序

  日本は、年初来、対ドルで1割超上昇した円高が過度で無秩序な動きだとして景気に与える悪影響を懸念。一方で、米国は足元の円相場は秩序立っているとの立場を変えていない。この日午前に行われた日米財務相会談でも、為替をめぐっては互い主張を述べ合うにとどまった。

  麻生財務相は20日、世界経済に関する討議を終えた後、記者団に最近の為替の水準や動きについて意見交換はなかったと説明。財務省幹部は21日、記者団に対し、日本としては当然、今年に入ってからの為替市場をにらんで議論を進めたことを明らかにした。

  東海東京調査センターの武藤弘明チーフエコノミストは、日本にとって焦点だった為替の議論について「ルー長官のコメントを見る限り、日本と米国の為替に対する見解の相違は変わっていない」と述べ、「平行線のままで距離は縮まっていない。今後歩み寄るという示唆はみてとれない」と指摘した。

サミット

 
  日本の財務省が公表した文書によると、成長が足踏みしている世界経済については「不確実性が増し、地政学的な紛争、テロ、難民の動き、潜在的な英国のEU(欧州連合)離脱によるショックがまた、世界経済の環境を複雑にしている」との認識で一致。その上で、成長の押し上げへ「各国の状況を踏まえつつ、金融・財政・構造政策をどうバランスよく組み合わせて実施していくかについて議論」したと紹介した。

  26、27の両日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれる。G7版3本の矢として議論を主導したい安倍晋三首相は特に財政出動が成長を下支えする役割の重要性を主張している。麻生財務相は「安倍首相の欧州歴訪時の話と仙台G7の話に基づいて、さらに積極的な話ができるようになっていると思う」と語った。

  野村証券の桑原真樹エコノミストは、過去のG7では世界経済が危機的な状況にあるときは一致団結して財政出動を決めるなど大きな成果を得られたこともあったが、現在は「国によって状況がさまざまで、景気が底堅い国とか悪い国が入り交じっている」と指摘。問題意識の共有が難しい中では、為替も財政も「各国が同じ方向に協調して動くというコンセンサスが得られにくい状況だと思う」と述べた。

  今回のG7では「パナマ文書」の公表に伴い、国際的な租税回避についても議論。G7が主導して多国籍企業の国境を越えた過度の節税策などを防止するための取り組みをリードすることで合意。テロ資金対策に関するG7行動計画もとりまとめ、各国が仮想通貨やプリペイドカードなど新しい決済手段の悪用防止策に着手する。