仙台G7:為替政策で従来の合意を確認-日米間の相違は埋まらず

  • 円相場の動きは秩序立っている-米財務省高官があらためて表明
  • 財政出動は各国の立場を尊重、麻生財務相は前向きな姿勢

仙台市内で開幕した主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は20日、初日の議論で為替政策についてこれまでのG7やG20での合意を再確認したが、水面下では日米間の認識の相違があらためて鮮明になった。

  会議終了後、議長を務めた麻生太郎財務相は記者団に対し、為替について「過去のG7、G20でも確認されているように、為替市場において過度の変動や無秩序な動きは経済に悪影響を与えるので、為替レートの安定は極めて重要」と発言したことを明らかにした。通貨の競争的な切り下げの回避についてコミットしているとの考えも明確にしたという。

  麻生財務相は最近の為替の水準や動きについて意見交換はなかったと説明した。一方、米財務省高官は同日、同市内で匿名を条件に記者団に対し、足元の円相場の動きは秩序立っているとの認識を示し、両国の考えの違いがあらためて浮き彫りになった。

仙台G7

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  同高官はさらに、G20での合意のように為替相場の動きが無秩序でない限り介入すべきではないとし、競争的な切り下げは回避すべきだと強調。為替の無秩序な動きの例として、歴史的な円高を記録した2011年3月の東日本大震災後の為替変動を挙げた。G7はこの時、協調介入に踏み切った。

日本の意見当然述べる-為替

  年初来、一時急速に進んだ円高を背景に、足元の為替の動きは過度で無秩序な動きだとして警戒感を強める日本に対し、ルー米財務長官は4月のワシントンG20後、足元の為替市場は秩序立っていると記者会見で反論していた。麻生財務相は、21日午前に予定されている日米財務相会談で為替が話題になれば「われわれの意見を当然述べる」と語った。

  4月に行われたワシントンG20の共同声明は為替について「過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与え得る」とした上で、「通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしない為替相場のコミットメントを再確認する」と明記した。

世界経済に下方リスク

  足元の世界経済の現状について麻生財務相は「落ち着きを取り戻しつつあるが、緩やかな回復も続いている」とした上で、「引き続き下方リスクが不確実性と合わせて残っている」と指摘。テロや難民問題、欧州連合(EU)からの英国離脱など、地政学リスクの今後の展開にも注意深くあるべきだと発言したという。

  日本の財政政策について麻生財務相は「経済再生と財政健全化を両立する観点から、機動的に対応していくという従来の方針をあらためて説明した」と発言。その上で「財政出動できる国できない国で事情いろいろある」と述べ、各国の立場を尊重する姿勢を示した。麻生財務相は「日本として経済の需要を喚起するために財政としてやるべきことがある」と述べた。

  自民党有志議員による「アベノミクスを成功させる会」(山本幸三会長)は同日、2017年4月からの消費増税は予定通り実施し、増税分全額を給付金で還付する一方、新たな16年度補正予算で10兆円の景気対策と5~10兆円の熊本地震対策基金創設を求める提言をまとめている。