仙台G7が開幕、世界経済への処方箋がテーマ-為替も焦点に

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  • 為替介入めぐり日米に溝、財政政策でも各国に温度差
  • 安定や成長のための議論進める-議長の麻生財務相が意欲

日本が8年ぶりに議長を務める主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議が20日夕、2日間の日程で仙台市内で始まった。初日は「世界経済の再興」が議題。安定した成長を促す財政・金融政策の運営や構造的な課題について意見を交わす。日米間で亀裂が生じている為替政策についても議論が行われる可能性がある。

  議長を務める麻生太郎財務相は19日夕、同市内で開かれた歓迎行事であいさつし、G7は世界経済の安定の要として主導的な役割が期待されていると述べた上で、議長として安定や成長のための議論を進めていきたいと意欲を示した。

  会場となるのは市街地から離れ、緑豊かな渓谷を臨む秋保温泉にある平安時代から続く老舗旅館だ。会議では、足踏みする世界経済の回復に向け金融や財政、構造政策など「全ての政策手段」を総動員するとしたワシントンG20(4月開催)の声明を受けて、どこまで具体策に踏み込めるかが焦点になる。

財政政策

  声明にもある「機動的な財政政策」については、安倍晋三首相がその役割の重要性を強調しているが、各国はそれぞれの立場があり調整は一筋縄でいかない。特にドイツや英国は慎重で、麻生財務相の手腕に協調の成果がかかる。麻生財務相は19日夕、日本の消費増税についても意見を求めるかとの記者団の質問に、リーマンショックや大震災が起きない限り予定通りとの従来の見解を繰り返した。

仙台G7シンポジウム

Photographer: Tomohiro Ohsumi/Bloomberg

  来日したショイブレ独財務相は19日、仙台市内で記者団に対し、「ドイツは良好な労働市場、高い国内需要や投資拡大により欧州のエンジンとして安定的な成長を維持している」とし、「われわれの財政政策はむしろ成功している」と強調。追加歳出は必要ないとの考えをあらためて明確にした。

為替介入

  日本にとっては為替政策の議論も重要だ。年初来、対ドルで約1割上昇した円相場。日本は「過度で無秩序な動き」と警戒し、円安効果に支えられた景気への悪影響を心配する。麻生財務相は「介入の用意がある」と断言する一方、ルー米財務長官は「市場には秩序がある」との認識で、両国間の見解の違いが鮮明だ。

  麻生財務相は17日の閣議後会見で世界経済の議論の中で必要に応じて為替についてやりとりする可能性を認めた。米財務省当局者は同日の電話会議で、ルー長官が、仙台G7で為替に対する世界のコミットメントを強調するとしていた。麻生財務相とルー長官は21日午前8時40分に会談する予定。日本時間20日夕の為替相場は1ドル=110円台で取引されている。

  ワシントンG20の共同声明は為替について「過度の変動や無秩序な動きは経済および金融の安定に対して悪影響を与え得る」とした上で、「通貨の競争的な切り下げを回避することや競争力のために為替レートを目標とはしない為替相場のコミットメントを再確認する」としている。 

  アデイエモ米大統領副補佐官(国際経済担当)は18日のインタビューで、為替介入に関して「世界経済の成長と貿易のフローが本来そうあるべき勢いを欠く時期にあって、他国に対する競争上の優位確保を意図したと思われる動きに出ることは、世界的な成長浮揚に寄与しない」と語った。同副補佐官は、日本を直接批判することは避けたが、為替介入は世界経済の成長押し上げに寄与しないとけん制した形だ。

被災地も視察

  公式会議に先立ち、20日午前には各国の経済学者をゲストに迎えたシンポジウムが開かれるほか、麻生財務相とラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事との会談も行われる。また、東日本大震災の復興が進む被災地にも足を伸ばす。

  21日には新興国からの資本流出に備えた世界的なセーフティーネットの強化や、「パナマ文書」で関心が高まっている国際的な租税回避などについても議論。午後に麻生財務相と黒田東彦日銀総裁の議長国会見を開き、閉幕する。

  仙台G7の主な日程は次の通り。
20日(金)

  • 08:30 G7シンポジウム
  • 14:00 復興状況視察
  • 17:00 G7会議

21日(土)

  • 08:40 日米財務相会談
  • 09:00 G7会議
  • 14:45 議長国記者会見