鍵握るのはドル相場、6月米利上げの余地めぐり当局はジレンマに

  • 引き締めを示唆する当局者発言でドルが上昇すれば、選択肢狭まる
  • ドル高はインフレを抑制し、企業収益を圧迫

ドル安に言及した米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録が18日に公表されるや否や、ドルは7週間ぶりの高値に急上昇した。

  これは、次の利上げ時期の判断に当たり経済データを見極めている米金融当局者が直面するジレンマだ。当局が6月利上げの可能性を示唆することは裏目に出る恐れもあるからだ。ドルが再び上昇して経済成長を損ない、株・原油相場を圧迫すれば、利上げの論拠を最終的に弱めることになりかねい。

  ストラテジストによれば、2014年半ば以降のドルの上昇は成長やインフレの見通しに打撃を与え、米当局のゼロ金利政策解除が昨年12月にずれ込んだ要因だった。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長やフィッシャー副議長は、ドルの上昇が政策引き締めペースを抑制すると警告している。

  チャプデレーンの為替責任者、ダグラス・ボースウィック氏(ニューヨーク在勤)は「FOMCは板ばさみだ」と指摘。「当局が利上げできないのは、それがドル高を意味するためであり、世界のデフレ圧力になるからだ。当局は強気の発言をするよう圧力を受けているが、実際にはあまり行動できない」と付け加えた。

  ドル相場の回復は、海外で収入を得る米企業の業績を圧迫する恐れがあり、14年半ばから今年1月にかけての25%のドル上昇で悪化した企業収益の回復を遅らせかねない。ドルは3カ月にわたる下落を経てここ2週間は上昇している。

  フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズのチーフエコノミスト兼シニア投資アドバイザー、ニック・サージェン氏は「当局はデータ次第と言うが、金融市場の状況について話しているため市場次第でもある」と指摘。「経済が好調なら当局は動くと期待される。そしてドルが上昇すれば、それは経済の足かせとなり、株式相場は軟化し、逆資産効果となり、困った状況になる」と述べた。

  ブルームバーグ・ドル・スポット指数はニューヨーク時間午後5時(日本時間19日午前6時)現在、0.8%高で、終値では3月28日以来の高水準に達した。対ユーロでは0.9%高の1ユーロ=1.1216ドル、対円では1%高の1ドル=110円19銭。

原題:Dollar Holds Key to Whether Fed Has Scope to Raise Rates in June(抜粋)