7&iHD井阪氏:米国セブンの売上拡大目指す、ファストフードが鍵

  • 「まだまだ伸びしろがある国」、店舗数より既存店売上増を優先
  • 鈴木会長は「天才経営者」、自分はボトムアップとトップダウンで

セブン&アイ・ホールディングス(HD)は、米国コンビニエンスストア事業における店舗当たり売上高を現在の1日平均約5000ドル(55万円)から5500ドル程度まで引き上げるため、ファストフードなどの食品を中心とした商品開発を強化する。次期社長の井阪隆一氏が語った。

  「まだまだ伸びしろがある国だ。日本と同じで、すぐに食べられるタイプの食品が強化されれば、その分、1店舗あたりの売り上げは伸びる」と述べた。同氏(58)によると、2月末時点で7995店を米国で展開するセブン-イレブンが同国コンビニ市場で占めるシェアは約6%だという。ファストフードとしては現在、サラダやサンドイッチ、ピザなどを提供している

  百貨店から金融まで展開し、売上高6兆円、営業利益3500億円を超える7&iHDだが、同利益の8割以上を稼いでいるのはコンビニ事業。新たにかじ取りを任される井阪氏は同事業の持続的な成長と、前期(2016年2月期)に減益となったイトーヨーカ堂を含むスーパーストア事業や、そごう、西武などの百貨店事業の構造改革、さらに米国におけるコンビニ事業の拡大を図る。

新業態

  BNPパリバ証券の大和樹彦アナリストは、米国セブン-イレブンは「今後2、3年でかなり大きくなっている可能性がある」と指摘する。現在は「新しい業態」を立ち上げている最中であり、「米国にフィットした日本型のコンビニエンスモデルが確立されていれば、ここは相当将来が明るい」と述べた。

  井阪氏によると、国内セブン-イレブンの既存店における1日あたりの平均売上高は前期に70万円を超えた。国内では店舗数を積極的に増やす戦略だが、米国では既存店の売上増を優先。新店舗は「立地のクオリティーを十分に見極めないといけない」として、店舗数拡大は慎重に進めていく考えだ。

「天才経営者」鈴木会長

  20年以上にわたりセブン-イレブンの陣頭指揮を執り世界最大の小売りチェーンに育て上げた鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)は、セブン-イレブン社長の井阪氏の手腕に不満だとして退任人事案を策定した。ところが取締役会は同人事案を否決し、事態は鈴木氏の突然の退任、さらに井阪氏の7&iHD社長への昇格という結果になった。

  「天才経営者の鈴木会長が、客の潜在的ニーズをつかみトップダウンでやってこられた。私としては現場にいろいろなイノベーションのシーズ(種子)があると思っている。ボトムアップとトップダウンをうまく組み合わせた経営をやっていきたい」と井阪氏は話す。

  7&iHDの人事は海外からも注目を集めた。米ヘッジファンド運営会社サード・ポイントを率い、物言う株主として知られるダニエル・ローブ氏は同社人事への懸念を書簡で表明し、井阪氏がHDを率いる候補者の最右翼であるべきだと主張していた。

  井阪氏は株主について「公平にお付き合いをしていかないといけない」と話す。「新しい執行部がスタートして、方向性を描いて、お示しして、こういう成長をしたいのでご支援をお願いいたしますと申し上げたい」と述べた。ローブ氏については言及を避けた。今月26日、同社の株主総会後の取締役会において、井阪氏の社長就任を含む人事が正式決定される。