携帯3社の規制リスク浮き彫り、総務省値下げ要請検討に市場敏感

  • 17日にドコモ、KDDIが下落に転じ、ソフバンは上昇幅縮小
  • 「そもそも規制産業であることを考えなくては」と投資家

携帯3社が業績好調で、見通しが明るい中、そこに目を付けたのは投資家だけではなかった。総務省はそれならと、さらに携帯料金を下げられるのではないかと考えた。

  同省がNTTドコモKDDIソフトバンクグループの3社にさらなる携帯料金の引き下げを求めていく考えだと17日に報じられた。同省関係者によると、直近決算が好調だったことなどから、3社には値下げ余地がまだ十分あると同省は認識しているという。

  市場は即座に反応し、KDDI株は一時前日終値比4.9%安、ドコモ株も同4.4%安を記録、ソフトバンクは上げ幅が縮小した。それぞれ17日の取引を同3.5%安、同2.8%安、ソフトバンクは同1.8%高に戻して終了した。ドコモ親会社のNTTも同3%下落となっており、ドコモとKDDIと合わせてこの日で時価総額9314億円が消えた格好となった。

値下げ原資

  総務省関係者によると、同省は携帯を頻繁に使わないライトユーザーや長期契約者向けの値下げプランをさらに広い層に拡大する方向で、家計の通信料軽減を携帯3社に要請していく方向だ。同関係者は情報が非公開であるため匿名を条件に語った。好決算を受けて、端末の販売数が減っても値下げ原資の確保が十分可能とみており、高市早苗総務相も携帯3社にさらに値下げを求める方向だという。同省広報担当からのコメントは得られていない。

  「もうけたらもうけた分だけ吸い上げられるのは、株主の観点からしてあまり良くないかもしれませんが、そもそも規制産業であることを考えなくてはいけない」と、パインブリッジ・インベストメンツの前野達志マネージングディレクターは指摘する。政府の方針で収益が変動する可能性があることを「リスクとして考えなくてはいけない」という。

  安倍晋三首相の提案で昨年始まった携帯料金の見直しで、通信各社は総務省からライトユーザーや長期契約者にとって不利な携帯料金の是正を要請された。これまでにドコモは両方の対応プランを発表したが、KDDIとソフトバンクはライトユーザー向けプランのみを発表し、長期契約者向けにはまだ発表していない。関係者によると、総務省は長期契約者の値下げプラン発表後も、さらに料金の軽減につながる方策の検討を3社に要請していく考えだ。

「もう一度確認」

  SMBC日興証券の菊池悟シニアアナリストは「タスクフォースと総務省の方針で値下げ要求は継続的」であり、「その方向性がもう一度確認された」と指摘する。ただ、「やり過ぎると下げなくてもいいところまで踏み込み、業績の悪化につながり、証券市場に対する信頼が薄れる」とし、料金値下げは「急には進まない」とみている。

  総務省のウェブサイトによると、高市総務相は4月8日の記者会見で、「長期利用者も含めて、より多くの利用者の方がメリットを実感できるように、引き続き料金プランの見直しを進めていただきたい」と述べている。

  関係者によると、今後の要請として、ライトユーザーと定義される使用頻度や長期契約者と定義される契約年数を緩和することなどによって、値下げ対象者の拡大を求めていく考えだという。

増収増益

  携帯3社が5月上旬までに発表した決算によると、ドコモは今期(2017年3月期)の純利益が12期ぶりの高水準の6400億円に達する見通しだ。KDDIも今期は増収増益となる見通し。予想数値を公表していないソフトバンクは、前期に国内通信事業の利益が7.5%伸びた。

  総務省から追加の値下げ要請を受けた場合、ドコモの下山裕子広報担当は「今後も、端末価格を見直していくとともに、料金の見直し拡充を順次検討していきたい」とし、端末価格の値上げと併せて料金プランの値下げを考えていると述べた。KDDIの堀内優理広報担当は、ガイドラインの趣旨を踏まえ「柔軟に対応していきたい」と述べた。ソフトバンクの小寺裕恵広報担当は、「ガイドラインに沿って対応を検討していく」と語った。