アサヒGH社長:欧米進出を加速、M&Aさらに4000億円投じる用意

  • 欧米で酒類、飲料事業の拡大を狙う
  • 米国で販売伸ばすため、販路強化に向けて投資機会を検討

国内ビールシェア首位のアサヒグループホールディングスは、企業の合併・買収(M&A)に最大4000億円を投じる方針だ。欧米で酒類、飲料事業の拡大を狙う。

  3月下旬に社長に就任した小路明善氏は18日、同社の主力商品「スーパードライ」は米国で「大いにポテンシャルがある」と述べ、米国での同ブランドの販路強化に向けた投資機会を検討していると、ブルームバーグとのインタビューで明らかにした。具体的な社名の言及は避けた。アサヒGHは先月欧州ビール4社買収を発表したばかり。

  国内ビール市場への依存度が高いアサヒGHは、海外市場への多角化により収益源の拡大を進めている。小路社長によると、同社は2018年に海外売上比率を現在の15%から20%に引き上げる目標で、M&Aを活用してコア事業に位置づける酒類・飲料の強化を図る。ブルームバーグの集計データによると、国内競合のキリンホールディングスの同比率は15年12月期に35%だった。

4000億円確保

  小路社長は投資の際の財務指標として、自己資本に対する負債の倍率を示す負債資本倍率(D/Eレシオ)1倍を目安としており、そうした場合に欧州ビール4社の買収後も3000億円の資金余力があると説明した。今後の事業で創出する現金と合わせ、来年には最大で4000億円確保できるという。

  アサヒGHの投資は欧米地域に焦点を当てる予定。東南アジアでのビール会社のM&Aは現在検討しておらず、オセアニア地域でも成長が安定していると小路社長は述べた。

  現在、米国でアサヒGHのスーパードライの販売状況は年間75万箱で、小路社長は「売っていないに等しい」と述べた。同市場での販売力を強化することで、将来ビールのほかに日本産ウイスキーやノンアルコールなどの拡販にもつながるという。同社は昨年、海外でスーパードライを中心とする酒類864万箱を販売した。

ペローニ、グロールシュ

  アサヒGHは欧州で先月、英ビールメーカーのSABミラーから傘下の伊ぺローニ、蘭グロールシュなど欧州4社を買収する契約を締結した。小路社長によると買収金額は約3300億円。同社にとって過去最大規模となり、欧州進出への足がかりを得る狙いがある。

  野村証券の藤原悟史アナリストによると、アサヒGHのこれまでの問題は「国内のアサヒビールに相当依存する」ことであり、今回の海外買収が「うまくいけばアサヒの収益構造が変わってくる可能性がある」と述べた。

  アサヒGH株は18日、前日比ほぼ変わらず、0.03%安の3628円で取引を終えた。TOPIXは同0.19%高だった。