サウジの米国債保有額、米財務省が初めて公表-41年余りの謎解ける

  • サウジの3月時点の米国債保有は1168億ドル
  • サウジのデータは1974年以降、産油国グループに集約されていた

米国債市場の大きな謎の一つが41年余りを経て解けた。

  米財務省は16日、サウジアラビアによる米国債保有額を初めて公表。サウジの保有額を他の産油国グループとまとめて集計し、同国のデータを非公開とする長年の政策を取りやめた。世界最大の石油輸出国であるサウジの3月時点の米国債保有は1168億ドル(約12兆7400億円)と、2年前の827億ドルから増加した。同省はブルームバーグ・ニュースが提出した米情報公開法(FOIA)に基づく要請に応じてデータを明らかにした。

  サウジの米国債保有額は諸外国で上位12カ国の中に入る規模。これに対し中国は1兆2000億ドル、日本は1兆1000億ドル台。

  米国が1974年以降、サウジの保有額を秘密にしていたのは、アラブ諸国による原油禁輸措置の影響が背景にある。米国経済は当時原油高騰で動揺し、オイルマネーを引きつけることに苦慮していた。ここにきてサウジの保有額をめぐる疑問が重要性を増しつつあるのは、2014年以来の原油下落や中東での紛争で同国の財政が圧迫されているためだ。

  三菱UFJセキュリティーズの米金利戦略責任者ジョン・ハーマン氏は「極めて貴重な情報だ」と述べ、「紳士協定のようなものだった。保有額を秘密にすることで同盟関係を維持した。サウジの保有額を把握し、他国の勘定と同様にモニターしていくことが重要だ」と指摘した。

  サウジ通貨庁(SAMA、中央銀行に相当)のデータによれば、同国の外貨準備は25年で最大の財政赤字の穴埋めで過去1年に16%減少した。こうした財政難の兆しは、世界で最も規模が大きく重要とされる米国債市場へのサウジの影響をめぐる懸念を浮上させている。

新たな疑問

  16日の公表データは、答え以上に多くの新たな疑問を生み出しそうだ。サウジの保有額は同国の外貨準備5870億ドルの約20%にすぎず、国際通貨基金(IMF)のデータで中央銀行が通常、ドル建て資産に外貨準備を振り向ける割合とされる約3分の2を下回っているためだ。

  一部の国は米国債をオフショア金融センターで買い集めており、保有分が他国のデータとして示されるケースもある。例えばベルギーは2月時点で1430億ドルの米国債を保有していたが、同国は中国の信託管理勘定を抱えているとアナリストは指摘する。

  さらに、米財務省が公表したサウジの保有額が全てではない可能性を示す兆候もある。01年9月11日の米同時テロでのサウジの何らかの関与で米国の裁判所で責任を追及することを認める法案を米議会が可決した場合は、サウジは米国債などのドル建て資産7500億ドル相当の売却も辞さない姿勢だと米紙ニューヨーク・タイムズは4月に報じた。

  サウジの財務省とSAMAに電話や電子メールで取材を試みたが、通常業務時間外で返答は得られていない。
  
原題:After 41 Years, Saudi Arabia’s Treasuries Holdings Are Unveiled(抜粋)