原油安直撃、16年度は石油各社や商社が開発投資削減へ-懸念表面化

  • 各社投資額は4割減少へ、世界的に生産維持に必要な投資額下回る
  • 資源開発の中核的企業を育成へ-国際帝石と石油資源開発の統合か

国内の石油元売りや総合商社など石油・ガス開発を手がける各社は、原油や天然ガス価格の低迷を受けて開発投資の抑制にかじを切っている。エネルギー安全保障上重要な日本の自主開発比率の向上を目指す動きにも水を差しかねず、政府は資源開発を担う中核的企業の育成に取り組む方針を示した。

  経済産業省が17日に発表したエネルギー白書によると、国内最大の石油・ガス開発会社の国際石油開発帝石のほか、石油元売り最大手のJXホールディングス、出光興産、総合商社など国内10社による上流開発投資額は2016年度に前年度比4割弱減少し、約1兆2000億円となる見通し。10社の15年度の投資額は、それまでの2年間で2割強減少し1兆9435億円だった。

  国際帝石は12日の決算発表時に、16年度の探鉱・開発投資が前年度比28%減の6950億円とする方針を明らかにした。このうち資源を発見するための井戸の掘削などの探鉱投資は106億円と同66%削減する計画。同社の村山昌博常務は同日の記者会見で「探鉱投資は本来は成長のために欠かせない」としたものの、「ここまで油価が落ちると、一上場企業としては経済性に目を投じながら物を考えていく必要がある」との考えを示した。

  経産省の白書によると、世界全体の上流開発投資も15年に前年比2割減り、投資額は生産量維持のために必要な年70兆円の大台を下回ったと指摘。16年はさらに減る可能性があり、将来的な需給の逼迫(ひっぱく)や価格高騰の懸念もある。

政府の投資支援が必要

  5月初めに主要7カ国(G7)は北九州市で開いたエネルギー相会合で、エネルギーの安定供給確保のほか、世界経済の成長を下支えするためには「官民による継続的な上流投資が重要」と訴え、継続的な上流投資を支援することで合意。7カ国が主導的な役割を担って民間企業の開発を後押しすることで一致した。

  JXHDが11日に発表した決算資料によると、同社は16-18年度の石油開発事業の設備投資計画を13-15年度実績比4割減の2500億円に、出光興産も今年度の戦略投資計画を前年度比34%減の610億円まで減らす方針だ。

  出光の鷺島敏明執行役員は10日の決算発表会見で、14、15年度と2期連続の赤字により財務状況が悪化したことから「投資は極力抑えていく」と述べ、最終投資決定を遅らせているカナダの液化天然ガス(LNG)事業について、低いガス価格がこのまま続けば撤退もあり得るとの考えを示した。原油や銅など商品価格の下落により、資源分野を中心とした総合商社5社の減損損失も15年度は前年度比8割近く拡大し1兆2300億円に膨らんだ。

  国際エネルギー機関(IEA)の事務局長も務めた笹川平和財団の田中伸男理事長はブルームバーグの取材に対し、商社中心に高コストの米シェール案件で減損を出している事例をあげ、「リスクをとって投資したので仕方ないが、それでやめてしまうのでは将来需要がまた戻った時に儲け損なう」と指摘。本来は今投資すべきだとした上で、「国がリードしないと民間もついてこれないのなら、将来への投資という意味で国がやるべきだろう」との考えを示した。

自主開発比率40%に

  政府はエネルギー基本計画で石油・天然ガスの自主開発比率を15年3月末の24.7%から、30年までに40%以上へ引き上げる目標を掲げており、経産省はエネルギー白書で、探鉱や資産買収を継続するために「中核的な上流開発企業の育成に取り組む」との方針を打ち出した。

  田中氏は、原油価格下落に伴い投資が減退するときは、「世界のオイルメジャーの世界でも再編が起こるのと同じように国内でもダウンストリームで再編が起こっているので、アップストリームでも起って当然」と指摘。上流事業の国内中核的企業として、経産省が筆頭株主である国際帝石と石油資源開発の2社が統合される可能性があると指摘した。

  また政府は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じても日本の自主開発比率向上のため民間企業の権益確保・維持を金融面から支援する方針だ。JOGMECの黒木啓介理事長は3月のブルームバーグのインタビューで、「良いタイミングで少しでも自主開発比率を上げられるのであればバックアップしたい」とし、資金余力がない企業を支援するために予算的な措置を講じる考えを示していた。

  日本経済新聞は4月27日、政府が今後5年間のJOGMECを通じた資源会社への出資や債務保証の枠を、いまの2倍以上にあたる年間6000億円規模に拡大する検討に入ったと報じた。

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