サウジの米国債保有額が突き付ける新たな謎、1168億ドルで全てか

  • 米国債保有額はサウジの外貨準備の約20%に相当
  • IMFの目安では外貨準備の3分の2は通常ドル建て資産

米財務省が初めて公表したサウジアラビアの米国債保有額を受け、それで全部なのかという疑念がウォール街に反響した。

  同省が16日に公表したデータによれば、サウジは3月末時点で1168億ドル(約12兆7400億円)相当の米国債を保有していた。同省はブルームバーグ・ニュースが提出した米情報公開法(FOIA)に基づく要請に応じてデータを明らかにした。米国は1974年以来、世界最大の石油輸出国であるサウジの保有額を他の産油国グループとまとめて集計しており、同国分を公表したのは今回が初めて。

  公表されたサウジの保有額は同国の外貨準備高5870億ドルの約20%で、中国や日本の保有額の約1割に相当する。2001年9月11日の米同時テロをめぐり米国の裁判所でサウジの責任を問うことを認める法案を米議会が可決した場合は、サウジは米国債などのドル建て資産7500億ドル相当の売却も辞さない姿勢だと米紙ニューヨーク・タイムズは4月に報じており、この金額に比べると今回公表された保有額は小さく見える。

  保有額公表で一つの謎は解けたものの、別の謎が浮かび上がる。国際通貨基金(IMF)によると、各国・地域の中央銀行は通常、外貨準備の約3分の2をドル建て資産で保有する。サウジの通貨リヤルはドルにペッグされており、主要な輸出品である原油はドル建てであるため、ストラテジストによれば、サウジの外貨準備に占める米国債などのドル建て証券の割合はもっと大きくなるはずだという。

  別のドル建て投資が存在するとしても、残された選択肢はわずかだ。サウジの外貨準備は大方の予想よりもドル建て証券が少ないのか、ニューヨーク連銀などで証券が保管されているか、米財務省のデータに反映されない株式やデリバティブ(金融派生商品)、非政府債など他の証券で保有されている可能性もある。

  ジェフリーズ・グループの短期金融市場エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は「サウジはここでカウントされない先物」や別の国で保有している可能性があると述べた上で、同国が他のどこかで保有する必要のある資産の規模は謎だと付け加えた。

原題:Saudi Arabia’s $117 Billion Treasuries Tally Poses Fresh Puzzle(抜粋)