ウォール街の債券利回り予想、一段と分散-利下げ観測も浮上

  • スタンダードチャータードのコスターグ氏は利下げで米国債高と予想
  • 米経済や利回りに関する見通しにばらつき-ブルームバーグ5月調査

スタンダードチャータードのトーマス・コスターグ氏の目には、米連邦公開市場委員会(FOMC)による年内利上げ実施の有無は、債券投資家にとって大問題ではない。むしろ、あとどのくらいで当局が利下げを余儀なくされるのかが重大だという。

  シニアエコノミストのコスターグ氏によれば、FOMCはリセッション(景気後退)リスクに対応し、7年にわたる事実上のゼロ金利政策を終了する動きを撤回せざるを得なくなる。これが米国債需要を支え指標10年債利回りを1.6%に押し下げるという。同氏の予想した水準はブルームバーグの最新調査で最も低い見通しの1つ。

  これと対極の予想を示すのは、アマースト・ピアポント・セキュリティーズのスティーブン・スタンリー氏だ。同氏はインフレ率や雇用の伸びを受けて当局が年内2回利上げするとの見方から、指標利回りは1ポイント強上昇し2.8%を付けると見る。

ForecasterFirmHighest 2016 Yield Forecasts (%)
John DunhamGuerrilla Capital3.53
Stephen StanleyAmherst Pierpont2.80
Ian ShepherdsonPantheon2.75
Chris RupkeyTokyo-Mitsubishi2.70
Scott BrownRaymond James2.61
ForecasterFirmLowest 2016 Yield Forecasts (%)
Paul MortimerBNP Paribas1.50
Steven MajorHSBC1.50
Thomas CostergStandard Chartered1.60
Sergio CapaldiIntesa Sanpaolo1.60
Mikhail MelnikKennesaw State Univ1.67

  こうした相反する見方は米経済の方向性と、その米国債市場への影響をめぐるコンセンサスの乏しさの象徴だ。同時に、債券利回りが急低下し価格が上昇する中、米金融当局者が発するまちまちなシグナルや中国をめぐる不安、日欧のマイナス金利を受けて、投資家にとってリスクが増しているかを映すものでもある。2016年は、強気派と弱気派の予想の差が過去3年のいずれの年よりも広がっており、ボラティリティの高まりが金融市場を悩ませている。

  コスターグ氏(30)は電話インタビューで、「厳密に言うと、米金融当局のフォワードガイダンスに従うなら、より多くの利上げをもっと早期に実施していたはずだ」と指摘。「一部の予測者はそのわなに陥った」と付け加えた。

  過去3年間は、債券市場の最も強気な見通しに耳を傾けた向きが報われた。13年末に3%でピークを付けた指標10年債利回りは、その後急低下した。インフレや賃金の期待外れの数字に加え、世界経済の不振を受けて安全資産に対する需要が保たれた。10年債利回りは今年だけでも0.5ポイントあまり低下し、先週は1.7%で終了。今年の相場上昇を受けて同利回りの年末予想の平均は5月12日時点で2.2%に低下したとはいえ、個々の予想は一段と分散しつつある。

  ブルームバーグがストラテジストやエコノミスト66人を対象に実施した5月の調査では、公式の利回り予想で最低はBNPパリバの1.5%で、最高はゲリラ・エコノミクスの3.53%。このため最低と最高の差の今年の平均は1.96ポイントとなり、少なくとも13年以降で最大となったことがブルームバーグの集計データで分かった。

原題:Wall Street’s Bond Forecasters Splinter as Fed Credibility Wanes(抜粋)