円が下落、サミット向けた政策期待で日本株上昇-対ドル108円台後半

更新日時
  • 朝方に108円47銭まで円買い先行後、108円99銭までドル高・円安進む
  • 109円台でドル・円買い上がる理由見受けられない-三井住友信・細川氏

16日の東京外国為替市場では円が下落。来週の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)に向けた政策期待などを背景に日本株が上昇する中、リスク選好に伴う円売りが優勢となった。

  午後4時2分現在のドル・円相場は1ドル=108円73銭前後。週末発表の中国経済指標の不振を受けて朝方は108円47銭まで円買いが先行したが、続落して始まった日本株が上昇に転じると円売りが強まり、一時108円99銭まで値を切り上げた。その後108円台後半でしばらくもみ合ったが、109円台には届かず、午後には日本株が上げ幅を縮めたのに伴い、ドル・円も伸び悩んだ。

  三井住友信託銀行マーケット金融ビジネスユニットの細川陽介為替セールスチーム長は、消費増税延期や財政政策への期待から日本株が上昇している流れを受けて、ドル・円は買われたと説明。ただ、先週末の強い米経済指標を受けたドルの動き、それを受けた米株の動きを見ていると「109円台でドル・円を買い上がっていく理由が見受けられない」とし、今週末の主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会合も「米国の日本の為替政策に対するスタンスが変わってないとみられる中で、円買い材料にされやすい」と語った。

  先週末の海外市場では予想を上回る米小売売上高や米ミシガン大学消費者マインド指数を受けて一時109円56銭と4月28日以来の水準までドル買い・円売りが進んだが、米国株が下落し、米債利回りが下げに転じたことで、108円台後半まで反落していた。 

  安倍晋三首相は2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再び延期する方針を固めた、と14日付の日本経済新聞朝刊が報じた。20、21日にG7財務相・中央銀行総裁会議、26、27日には伊勢志摩サミットが開かれる。

  週明けの東京株式相場は反発。主要株価指数は小安く始まった後、早々にプラスに転じ、日経平均株価は一時200円超まで上げ幅を拡大した。もっとも、午後には上げ幅を縮小し、結局54円高で取引を終えた。

  バークレイズ銀行の門田真一郎為替ストラテジストは、日本では18日発表の1-3月期の国内総生産(GDP)が注目で、その数字を見て、伊勢志摩サミットに向けて「日本が財政政策についてどういったことを示すかが当面の焦点になる」と指摘。その上で、基本的にはリスクセンチメントに左右される動きが続いており、「株の上昇が続けばドル・円は底堅い動きになるだろうし、株の上昇が一服すればここら辺で頭打ちになる可能性もある」と語った。

  中国国家統計局が14日発表した4月の工業生産は前年同月比6%増と3月の6.8%増から伸びが鈍るとともに、エコノミスト予想の6.5%増を下回った。4月の小売売上高も同10.1%増とアナリスト予想に届かず、1-4月の都市部固定資産投資は前年同期比10.5%増と、エコノミスト予想(同11%増)を割り込んだ。週明けの中国株式相場は下落して始まったが、その後下げ渋り、プラスに転じた。

  ルー米財務長官は13日、為替に関する国際的な公約は今のところ守られていると米国では評価していると語った。また、日本は大きな課題を抱えていると述べ、あらゆる政策手段を動員する必要があると指摘した。

  一方、浅川雅嗣財務官は16日、財務省内で記者団に対し、日本の為替政策は通貨の競争的切り下げに当たらないとし、米国の為替報告書の監視リスト入りについては、日本の為替政策の手足を縛るものではないと述べた。これとは別に日本経済新聞はウェブサイトで、財務官が日経新聞と英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)との共同インタビューで、為替相場が急変すれば、状況次第で介入に踏み切る姿勢をにじませたと報じた。

  クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は、ドル・円が午後反落したことについて「株売りと109円ちょうどのキャップが意識され、利食いの動きになったようだ」と説明。財務官の発言自体は「円売り材料」とした上で、「週末のG7までいろいろ出て一喜一憂するのだろう」と語った。