ブレイナードFRB理事:政策論議に国際的思考吹き込む先見の明

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  • 昨年10月に理事が警告したリスクを今年3月のFOMCが言及
  • 次期FRB議長や財務長官に就任も-クリントン家と長年交友

米連邦準備制度理事会(FRB)のブレイナード理事は、中央銀行当局者の中で異端に近い立場にあることを表明した。ニューヨーク・マンハッタンで今年開かれた会合で、先進国が共通のリスクに協調して対応すべきだと提言したのだ。

 これには聴衆から異論が出た。元FRB理事で現在ワシントンで分析会社を経営するローレンス・マイヤー氏は、FRBでは国内政策の課題が優先されると述べた。これに対しブレイナード理事は2月26日、「世界は根本的に変化した。中国の行動は米国にとって重要だ」と反論した。

  FRB理事就任から1年間は目立たない姿勢だったブレイナード理事は昨年10月、政策論議を前面に出し始めた。FRB理事は従来、議長や副議長の陰に隠れて当局の政策審議にあまり影響を与えてこなかっただけに、異例の動きだ。

  一連の講演でブレイナード理事は、特に政策金利がゼロ付近にある世界の主要国経済をより緊密に結び付けている金融・経済のリンクに関する新たな秩序に注意を促した。このリンクを米当局が過小評価して利上げを早まれば、金融市場の反発を招き撤退を余儀なくさせられると同理事は警告した。

  これは同理事が依然として懸念する脅威だ。今週のインタビューで理事は、この数カ月で「歓迎すべき」金融状況の緩和が見られたが、「世界経済はまだかなり難しい状況にある。世界的なリスクはさまざまな理由から再燃する恐れがある」とコメントした。

先見の明

  ブレイナード理事の10月の警告は先見の明のあるものだった。連邦公開市場委員会(FOMC)が12月に約10年ぶりの利上げを実施し、2016年に4回の追加利上げ見通しを示してから数週間以内に、投資家は低調な世界経済成長におびえる状況に陥った。金融状況は引き締まり、1-3月(第1四半期)の米経済成長の鈍化を招いたことから、当局は海外情勢による米国の雇用とインフレへの影響を見極めるため利上げ計画を保留状態とした。当局は6月14、15両日の次回FOMCで追加利上げに踏み切るかどうかを検討する。

  同理事は今週のインタビューで、「私は国内目標達成に向けた勢いが弱まる兆しがないかや、海外発のリスクを引き続き非常に注視している」と語った。

  国際情勢を重視するブレイナード理事の見方は、米金融当局者の間で広く共有されるものではない。リッチモンド連銀のラッカー総裁は4月に、米当局は国内状況に「もっぱら集中」すべきだと述べ、ボストン連銀のローゼングレン総裁は12日に政策論議で国内状況を優先する必要性に言及している。

  それでもブレイナード理事はワシントンで一番の国際派として頭角を現しつつある。ハーバード大学の博士号を持つ54歳の同理事は、民主党が11月の大統領選挙で政権を維持できれば将来の米財務長官もしくはFRB議長に就く可能性もある。これはイエレン議長が2018年2月の任期満了時に再指名を受諾しないか、もしくは指名されないことを前提としている。

  ブレイナード理事はクリントン家と長年交友関係があり、大統領選に出馬したヒラリー・クリントン前国務長官には法的限度額の2700ドル(約29万円)を献金している。

原題:Brainard Sways U.S.-Centric Fed to Think Global in Rates Debate(抜粋)