【今週の債券】超長期ゾーン中心に金利上昇圧力、入札やGDP警戒で

  • 長期金利の予想レンジはマイナス0.15%~マイナス0.05%
  • 好需給を反映したフラットニングは終わりつつある-パインブリッジ

今週の債券市場は超長期ゾーンを中心に金利に上昇圧力が掛かりやすいと予想されている。週内の20年債入札、来週の40年債入札に対する警戒感が出ていることが背景。1ー3月期の国内総生産(GDP)統計の結果次第で、政府が財政出動に積極的な姿勢を打ち出すとの見方もある。

  長期金利の指標となる新発10年物国債利回りについて、ブルームバーグが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジは、全体でマイナス0.15%~マイナス0.05%。前週はマイナス0.11%付近でもみ合いとなり、マイナス0.115%で終えた。一方、先週の30年債入札は最低落札価格が市場予想を20銭下回ったことを受けて、超長期ゾーンは売りが優勢となった。新発20年債利回りは0.28%、新発30年債利回りは0.35%と、ともに4月28日以来の高水準を付けた。

  パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長は、「目先は超長期債の入札が続き、需給の良さを反映した形のフラットニングは終わりつつある。超長期債は弱気になる必要もないが、一休みする感じではないか」と話した。

  財務省が今週実施する国債入札は5年物と20年物の2本。17日の5年債入札は表面利率が0.1%に据え置かれる見込み。発行額は2兆4000億円程度。19日の20年債入札は156回債のリオープン発行で、表面利率は0.4%に据え置かれる見込み。発行額は1兆1000億円程度となる。今月は26日に40年債入札も予定されている。

  今月は超長期ゾーンの入札が3週連続で行われる一方、日本銀行が4月末に発表した当面の長期国債買い入れ運営によると、10年超の国債買い入れオペは月5回程度。5月に入ってすでに3回実施されており、2回を残すのみとなっている。

  みずほ証券の山内聡史マーケットアナリストは、「月内には20年債と40年債の入札イベントが残されている上、超長期ゾーンのオペは各入札後の2回しか残されていないと予想されることを考慮すると、しばらくは需給が緩みやすい環境が続くと考えられる」と指摘した。

  野村証券の松沢中チーフストラテジストは、「来週の40年債入札がちょうどサミット開催日とぶつかることもあり、今週の20年債入札で超長期ゾーンへの不安を払しょくできるか疑問だ」と言う。

GDP統計

  国内の経済統計では、18日に1ー3月期のGDP(速報値)が発表される。ブルームバーグが集計した事前予想の中央値は、実質で前期比年率0.3%増と2四半期ぶりのプラス成長が見込まれている。昨年10-12月期は同1.1%減だった。 

  政府は13日、熊本地震の復旧や被災者支援のため、総額7780億円の2016年度補正予算案を閣議決定し、国会に提出した。26、27日には主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)が開かれる。

  GDP統計について、パインブリッジの松川氏は、「悪ければサミット前に財政面の景気対策が出てくるとの思惑につながるので、債券のプラス材料にはなりにくいのではないか。一方、GDPが強めでも追加緩和期待の後退につながる」と分析した。

  野村証の松沢氏は、先週日銀緩和期待が復活した背景には、GDP統計後、サミット前に日銀臨時会合といった劇的なシナリオへの思惑もあるようだと指摘。ただ、「あまり期待しない方が良い。過去は臨時会合で政策変更したケースはあるが、そのような状況と比べ現状は明らかに喫緊性が低い。サミットに向けた政府の『隠し玉』への思惑もくすぶっているが、政府政策は通常関係者が多岐にわたることから、本番前に伝わってしまうことが多く、今回も例外でない」と言う。

予想レンジと相場見通し

  市場参加者の今週の先物中心限月、新発10年物国債利回りの予想レンジと債券相場見通しは以下の通り。

*T
◎岡三証券の鈴木誠債券シニアストラテジスト
先物6月物=151円50銭-152円20銭
10年物国債利回り=マイナス0.14%~マイナス0.07%
  「景気の先行き不透明感が強まっている状況からすると、日銀国債買い入れと追加緩和期待が下値を支える。1月の追加緩和以降、急激に利回りが低下している状況で、さすがに20年債の0.2%台、30年債の0.3%台に対する警戒感はある。20年債入札で若干弱含むことはあるかもしれないが、30年入札ですらあの程度で収まっているということは、今の状況で言えば20年債が0.2%台に入っているが、押し目買いで0.3%程度で止まるだろうという安心感はある」

◎BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジスト
先物6月物=151円40銭-152円20銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.05%
  「テーマは超長期債。超長期債主導で4月に強い地合いが続いたが、5月は相場が変わって上値が重くなる。20年債入札は事前にどこまで調整するかが鍵となる。日銀がいずれ追加緩和すると思うので、金利が低下する場合は、マイナス金利を嫌って超長期ゾーンを買う動きとなり、相場の支えになるだろう。1-3月期実質GDPはうるう年効果があるが、4-6月期はマイナス成長になる見込み。うるう年効果を除くと、昨年10-12月期からリセッション入りとの見方が出てくる」

◎パインブリッジ・インベストメンツ債券運用部の松川忠部長
先物6月物=151円65銭-152円30銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.15%~マイナス0.08%
  「今月は20年入札と40年入札に対して、日銀買いオペが残り2回程度。消去法的には10年ゾーンが買われやすいのではないか。同ゾーンのオペも残り4回ある上、来月には先物の限月交代も控えている。日銀4月会合の主な意見では、効果が出てイールドが十分下がっているので若干の買入減少も問題ないとの意見があり、市場が追加緩和を期待する中でサプライズだった。超長期ゾーンを示唆しているとも受け取れ、重しになっている」

◎大和証券の山本徹チーフストラテジスト
先物6月物=151円70銭-152円10銭
新発10年物国債利回り=マイナス0.13%~マイナス0.09%
  「超長期金利低下の勢いが止まったように見える。利付国債発行額を複利で加重平均した利回りが、翌日物と同水準となったことがあろう。追加緩和がない場合、国債イールドカーブは限界的な水準に達している。ただ、試算例では翌日物がマイナス0.22%まで低下した場合、20年債はゼロ%と低下余地がある。1 年間保有した場合のローリングダウン収益率では、いまだ1%の確保も可能。超長期金利は十分すぎるほど低水準であるものの、まだ妙味はある」
*T

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