超長期債は下落、財政拡大観測重し-生保が買い手引いているとの声も

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  • 新発30年債利回り0.36%と4月末以来の水準まで上昇
  • 財政拡張方向との観測、超長期債買いにくい要因-メリル日本証

債券市場では超長期債を中心に下落した。20年債と40年債の入札を控えて利回り曲線にスティープ(傾斜)化圧力が掛かりやすいことに加えて、来週の主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)を控えて財政拡大観測への懸念も相場の重しとなった。

  16日の現物債市場で新発30年物の50回債利回りは、日本相互証券が公表した前週末3時時点の参照値より1.5ベーシスポイント(bp)高い0.36%と、4月28日以来の水準で取引を開始した。いったん0.35%に戻した後、再び0.36%を付けた。新発20年物の156回債利回りは0.5bp高い0.27%で開始し、0.275%に上昇する場面もあった。長期金利の指標となる新発10年物国債の342回債利回りは横ばいのマイナス0.115%で開始し、その後はマイナス0.11%を付けている。

  メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「3月の年度末要因で買っていた生保などが恐らく手を引いているという中で相場が弱くなりやすいことに加え、入札が続くことや日本銀行の長期国債買い入れオペで超長期債の買いはあと2回しかないということを考えると需給が緩みやすい」と説明。さらに今週は国内総生産(GDP)発表、来週にはサミットを控え、「どちらかというと財政拡張方向との見方が強い」と言い、「この水準からなかなか超長期を積極的に買っていこうと言う人はそんなにいないと思う」と話した。

  長期国債先物市場で中心限月の6月物は前週末比3銭安の151円90銭で取引を開始し、いったん151円85銭まで下落した。一時4銭高の151円97銭まで上昇したが、午前の日銀金融調節で国債買い入れオペ通知がないと再びマイナス圏まで下げた。午後にはやや値を戻し、結局2銭高の151円95銭で取引を終えた。

消費増税再延期の観測

  14日付の日本経済新聞は、安倍晋三首相が2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げを再び延期する方針を固めたと報じた。今月26、27日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議論などを踏まえて表明する見通しだとしている。共同通信によると、首相は同報道を否定しているという。

  自民党の稲田朋美政調会長は15日朝、NHK番組「日曜討論」で、安倍首相が6月1日の国会会期末までに消費税率引き上げ問題について表明しないのかとの質問に対し、日本経済を壊すとの判断なら何らかの判断が示されると答えた。

  三菱UFJモルガン・スタンレー証券の稲留克俊シニア債券ストラテジストは、先週末の米国債高にもかかわらず、売りが先行したと指摘。「消費増税の再延期は当社のメーンシナリオでもあり、市場でもある程度織り込まれているもようだが、スティープ化要因になる。先週の30年債入札が軟調だったのと合わせ、需給面と財政面のダブルパンチになる」と話した。

  財務省は17日に5年債入札、19日に20年債入札を実施する。26日には40年債入札が予定されている。今月は超長期ゾーンの入札が3週連続で行われる一方、日銀が4月末に発表した当面の長期国債買い入れ運営によると、10年超の国債買い入れオペは月5回程度。5月に入ってすでに3回実施されている。

  BNPパリバ証券の藤木智久チーフ債券ストラテジストは、「消費増税延期や財政出動の影響は、補正の規模感や増発の有無などが不透明なことや多少の増発であっても日銀の買い入れの影響が大きいことなどから、まだ現物債への影響は計りづらい」と話した。一方、プライマリーバランスの18年度目標達成や日本国債の格付けにはネガティブな影響が働く上、国内銀行の外貨のファンディングコストの上昇につながると指摘。「今日のドル・円ベーシススワップの低下はそうしたことを反映している」と言う。

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