山崎前財務官:日本の為替介入の手足縛らず-米国監視リスト入り

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  • 介入は操作でなく投機による過度な変動に対する警告-山崎氏
  • 仙台G7で為替は主要議題にならず-為替政策は2国間の話

前財務官の山崎達雄氏は、米国の外国為替報告書の監視リスト入りでも日本の為替介入の手足は縛られないとの認識を示した。

  現在、国際医療福祉大学特任教授を務める山崎氏は12日、ブルームバーグのインタビューで、日米当局は過去の介入でも「100%一致しているわけではない」とした上で、「相場を操作するための介入ではなく、投機に対する警告だと説明した上で最後は当局の責任でやる」と説明。監視リスト入りが「手足を縛ると考える必要は全くない」と語った。

  山崎氏は日本が2003年から04年にかけて大規模な為替介入を実施した際に為替市場課長として最前線で指揮を執った。日本の介入は「投機筋が市場メカニズムを壊して大きな変動を引き起こして儲けようという動きを警告する」ためであり、中国などの管理相場での為替操作とは性格が違うと強調した。

  円相場は対ドルで年初から約1割上昇した。トヨタ自動車は11日、円高を理由に今期(2017年3月期)の営業利益が前期比4割減となる1兆7000億円になると発表。日本たばこ産業(JT)やファーストリテイリングも、業績が円高の影響を受けると直近の決算発表で明らかにした。円安による企業収益の改善から賃金、物価上昇への波及の青写真を描いてきた安倍政権にとっても打撃は大きい。

  山崎氏は「介入は水準ではなく、過度な変動が投機によって起こり、かつ本来のファンダメンタルズと違う方向に行くことなどを考えて判断する」と説明する。浜田宏一内閣官房参与は11日のインタビューで「円高はそれほど進まない」としながらも、1ドル=100円に急伸すれば介入を実施すべきだとの認識を示していた。

米国の狙いはTPP

  米財務省は4月29日に発表した外国為替報告書に、日本と中国、ドイツ、韓国、台湾を新たに設けた「監視リスト」に入れた。不公正な為替政策の基準に抵触したと判断されれば、2国間協議を開始し、場合によっては制裁対象とする。

  山崎氏は米国の監視リストについて、オバマ政権が環太平洋連携協定(TPP)の実現に向け、米議会や産業界の反発を抑えて環境を整えるために「為替操作もきちんとモニターしているとアピールする必要がある。まさに国内を説得するためのシステムだ」と解説する。

  ルー米財務長官は4月16日、ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の終了後に記者会見で、「最近の円高にもかかわらず、外為市場は秩序を保っている」と発言。市場関係者の間では、急激な円高への警告を続けていた麻生太郎財務相との間に相違があるとの見方が広まった。

  山崎氏は下がり過ぎた資源価格が戻しつつあることを背景に、「ドルの実効レートは歴史的にもかなり高くなっていたが、昨年末から今年にかけて少し戻っている事に対して正しい動きだと言っている」と指摘。日本が注目しているドル・円相場の投機的な動きを対象にしていないとの見解を示した。

  19日からの夕食会を皮切りに仙台で開かれるの主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の議題について山崎氏は、世界経済の成長が力強さに欠けることから、「2月の上海G20で先進国として財政も金融も構造改革もあらゆる手段を使ってリスクにならないよう出したメッセージをさらに強く、具体化することになる」との見通しを示した。為替政策については「各国の間で議論されることはない。2国間でやる話だ」と述べた。